健康情報局
消化管の働きは自律神経によってコントロールされています。すなわち、自分自身の意思とは関係なく機能しているのです。
そして、自律神経に影響を及ぼすのがストレスです。ストレスによって自律神経が影響を受け、コントロール機能が乱れると、消化管の働きにも異常をきたします。ストレスと腸管運動の密接な関係を説明するものとして、最近、脳腸相関が注目されています。たとえば、緊張や不安、イライラすることがあると、腸の働きが影響を受けて、下痢、便秘、腹痛などの症状が出ることがあります。これは、過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome, IBS)といわれています。
朝の出勤・通学前や通勤・通学途中、大切な会議や商談・試験前、デートの前など、緊張したりや不安になると突然おなかが痛くなったり下痢になる。便秘が続いていたと思ったら下痢になる。これといった原因がないのにおなかが張ってガス(おなら)がよく出る。
こんな症状に思いあたる人は、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
過敏性腸症候群(IBS)とは、腸管自体には異常がないのに、下痢や便秘が慢性的に続きます。これはストレスが原因で、自律神経が過敏になり、腸の運動が過剰になって起こります。主な症状は、便通異常、腹痛、腹部不快感、腹部膨満感です。便通異常では、下痢が続く下痢型、便秘が続く便秘型、下痢と便秘を交互に繰り返す便秘下痢交替型に分類されます。
欧米では人口の10~20%が過敏性腸症候群(IBS)という報告もあり、ストレス社会と言われる日本においても増えてきています。
ストレス下の消化管運動を抑制する因子で重要な物質として副腎皮質刺激ホルモン放出物質(corticotropin-releasing factor; CRF)があります。
ストレスを感じるとCRFが脳内に分泌され、不安を引き起こすとともに自律神経系を介して消化管運動を変化させます。