健康情報局

ノロウイルスに対する衛生管理

病原体の特徴

  • ノロウイルスは、ウイルスの外側を覆うエンベロープ(外皮膜)をもたない小さいウイルスです。このような構造のウイルスは丈夫なウイルスで、環境中においても比較的強く、消毒剤や除菌剤によっては効かない場合があります。
  • ノロウイルスには多数の遺伝子型があり、かつ変異しやすいため、同じ人が何度も感染することがあります。
  • ノロウイルスは小腸粘膜の上皮細胞でのみ感染、増殖する局所感染を起こします。そのため、感染した人での免疫は短期間でなくなると考えられています。
  • ノロウイルスは、少量(数10個~100個程度の摂取)で感染し、感染性胃腸炎を引き起こすといわれています。それに対して、ノロウイルスによる感染性胃腸炎にかかった人の吐しゃ物の中には約1万~10万個/g、糞便の中には約10億個/gが含まれていると言われています。ノロウイルスに汚染された食品や器具、感染した人などを感染源として、容易に感染が広がることが予測できます。

予防と治療

現在、ノロウイルス予防のワクチン、治療のための抗ウイルス剤はありません。ノロウイルスによる感染性胃腸炎にかかったときの治療は、痛み止め、下痢止めの薬(腸の動きを止めないもの)や、整腸剤の投与、脱水症状のひどい場合に輸液を行うなどの対症治療になります。

感染対策

日頃の感染対策

ノロウイルスに対する感染対策としては、ウイルスを口に入れないことが最も重要です。ウイルスを口に入れないための有効な手段は主に3つです。

手洗い、うがい

帰宅時に正しい手洗い・うがい、食事前やトイレの後には正しい手洗いを行う

十分な加熱調理

十分に加熱した(85℃、1分間以上)食品を摂取する

ウイルス除去

調理場や調理器具、共有で使用する箇所でのウイルス除去を行う

消毒剤・除菌剤によっては効き難いものがあります(エタノールや逆性石けんなど)。適切な手法でウイルス除去を行うことが、感染を防ぐことにつながります。

感染者に対する対策

ノロウイルスは感染力が強く、人から人へ感染しやすいため、感染拡大を最小限にするための感染対策が必要です。自分自身や周囲に下痢や嘔吐などのノロウイルス感染症様の症状がみられる場合には、糞便や吐しゃ物を感染源として感染していくため、これらを中心に感染対策を行いましょう。

頻繁に正しい手洗いとうがいを行う

ノロウイルスは糞便や吐しゃ物と共に排出され、排便時、嘔吐時、それらを処理する際に皮膚に付着します。正しい手洗いとうがいで、ウイルスが皮膚に残らないようにしましょう。
手指用の消毒剤を併用することも効果的です。

ウイルス除去

吐しゃ物や糞便、乳児や高齢者のオムツは適切に処理する

吐しゃ物や糞便にはウイルスが大量に含まれており、乾燥してしまうと浮遊して空気感染を起こします。ノロウイルスに効果のある消毒剤・除菌剤でウイルス除去すると共に、吐しゃ物や糞便が乾燥する前に取り除くことがポイントです。

ウイルス除去

1.処理する人はガウン(エプロン)を着用し、使い捨て手袋とマスクを着用してください

ウイルス除去

2.紙ペーパーや新聞紙などでおおいます

ウイルス除去

3.まんべんなく消毒剤や除菌剤をスプレーします

ウイルス除去

4.紙ペーパーごと静かに汚れを包み取ります

ウイルス除去

5.吐しゃ物が付着した床とその周囲にまんべんなく消毒剤や除菌剤をスプレーします

ウイルス除去

6.布か紙ペーパー等で拭き取り、しっかりと水拭きを行います

ウイルス除去

拭き取った吐しゃ物、使用後の紙ペーパー、新聞紙、布、手袋等は、すぐにビニール袋に入れ密封して廃棄します

汚染箇所のウイルス除去をしっかりと行う

衣類、リネン

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1.処理する人はガウン(エプロン)を着用し、使い捨て手袋とマスクを着用します。

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2.汚染した衣類やリネンから糞便や吐しゃ物を取り除く。

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3.洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。

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4.適切な消毒剤や除菌剤を使ってウイルス除去を行う。

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十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。

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布団などすぐに洗濯できない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です。

入浴

感染者はできるだけ入浴を避けましょう。入浴する場合は最後に入浴し、入浴後すぐに、浴槽や浴室内を適切な消毒剤や除菌剤を使ってウイルス除去します。

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共有で使用する箇所

感染者が接触する箇所は、こまめにウイルス除去しましょう。

トイレ ドアノブ 水道蛇口 電気スイッチ 階段手すり 食器

早めに治療する

下痢や嘔吐が長く続くことはウイルスを排出し続け、感染拡大につながります。
ウイルスの排出を抑えるためにも、早めに治療して症状を改善しましょう。

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症状改善後2週間程度は、手洗いの励行とウイルス除去を行う

症状が改善後しばらくの間、糞便中にウイルスを排出し続けます。排泄後のトイレのウイルスの除去、手洗いの励行が必要です。

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