健康情報局
インフルエンザウイルスは自分の力では増殖することができず、他の生物に感染し、感染した細胞の中で自分の遺伝子のコピーを作り増殖していきます。その結果、インフルエンザウイルスに感染したほとんどの細胞は死滅してしまいます。
また、インフルエンザウイルスの遺伝子はRNA(人の遺伝子はDNA)という遺伝子で、このRNAは誤ったコピーが発生しやすく、これを変異といいます。
インフルエンザウイルスは常にこの変異が起こっており、人の1000倍の確率で起こっているといわれています。さらに、増殖スピードは速く、1個のウイルスは1日で100万個以上に増殖します。インフルエンザウイルスは常に変異と増殖を繰り返して、徐々にマイナーチェンジしながら生き延びています。
一度、インフルエンザにかかったのに、何度でもかかることがあるのは、このように変異したインフルエ ンザウイルスに感染しているからです。
通常はマイナーチェンジだけの変異が、数十年に一度、フルモデルチェンジの変異を起こすことがあります。今まで鳥だけに感染していた鳥インフルエンザウイルスが、このフルモデルチェンジの変異で人に感染するようになり、さらに人から人に効率よく感染するように変化したのが、新型インフルエンザウイルスなのです。
新型インフルエンザの大流行(パンデミック)が起こり、ほとんどの人が新型インフルエンザウイルスに感染してしまうと、季節性のインフルエンザとなってマイナーチェンジを繰り返して生き延びてきます。
鳥インフルエンザウイルスが新型インフルエンザウイルスに変異するのに、現在、以下の3通りが想定されています。
1つ目の経路は、鳥と人の両方のインフルエンザウィルスが、両方のウィルスに感染しやすいブタに同時に感染し、体内で両者の遺伝子が交じり合うことにより、全く新しいインフルエンザウィルスになる経路です。
2009年に発生したブタ由来の新型インフルエンザ(A/H1N1型)は、この経路による新型インフルエンザです。
2つ目の経路は、鳥インフルエンザウィルスが突如変異を繰り返しているうちに人から人に対する感染性を獲得して新型インフルエンザウィルスになるものです。
3つ目の経路は、鳥と人の両方のインフルエンザウィルスが、ブタではなく人の体内で遺伝子を交わらせて、新型インフルエンザになるというものです。
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