健康情報局
新型インフルエンザの治療薬としては、季節性のインフルエンザの治療薬に使われている抗インフルエンザ薬のノイラミニダーゼ阻害薬が有効であると考えられています。
ノイラミニダーゼ阻害薬は、感染した細胞とウイルスを切り離す酵素ノイラミニダーゼ(NA)の働きを阻害して、感染した細胞から増殖したウイルスが出て行くのを阻止します。経口内服薬のリン酸オセルタミビル(商品名 タミフル)と経口吸入薬のザナミビル(商品名 リレンザ)があります。最近では、点滴で使用できるペラミビル水和物(商品名 ラピアクタ)や吸入薬 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名 イナビル)など、新たなインフルエンザ治療薬が増えてきています。
通常、これらは、医師の処方により販売または授受される医薬品であるため、「処方箋」なしでドラッグストアや薬局などで購入できる医薬品ではありません。新型インフルエンザの発生に備えて、国や都道府県や製薬企業では、インフルエンザ治療薬の備蓄を行っています。
新型インフルエンザの発症予防や重症化防止のためにはワクチンがあり、プレパンデミックワクチンとパンデミックワクチンがあります。
プレパンデミックワクチンとは、H5N1型鳥インフルエンザウイルスで作られ国が備蓄しているワクチンです。新型インフルエンザが発生する前に、鳥インフルエンザウイルスを基に製造されています。H5N1型の新型インフルエンザが発生した場合、重症化を防いで致死率を大幅に下げると考えられますが、パンデミックワクチンと比べて効果は確実とはいえません。
国は現在流行している鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に対するワクチンをプレパンデミックワクチン原液として製造、1000万人を備蓄しています。
パンデミックワクチンとは、実際に流行している新型インフルエンザウイルスを基に製造されるワクチンです。
このワクチンは実際に新型インフルエンザが発生しなければ製造できないため、新型インフルエンザが発生してから少なくとも6ケ月かかり、全国民分を用意するには1年以上かかります。2009年発生の新型インフルエンザ(A/H1N1型)では、発生(2009年4月)から約6ヶ月後(2009年10月)から、パンデミックワクチン接種が開始されました。
また、季節性のインフルエンザの予防接種しているワクチンは、新型インフルエンザと異なる亜型に対す るワクチンであるため、効果はほとんど期待できません。
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