知る・楽しむ

おなかのトラブルと対処法 軟便・下痢

便の水分が異常に増え、液状またはそれに近い状態を「下痢便」、通常より少し軟らかい状態を「軟便」といいます。下痢便や軟便を繰り返し、腹部不快感や腹痛を伴う状態を「下痢もしくは下痢症」といいます。
理想的とされるバナナ状の便の水分量は70%~80%ですが、これが80%~90%になると「軟便」、水分量が90%を超えると水様便となり「下痢便」の状態になります。

1.原因を探り、症状を確認しましょう
ポイント

原因と症状を確認することが、早い快復の第一歩です。
発熱や血便がないことを確認しましょう。

下痢になったら、まず、原因と症状を確かめましょう。思いあたる原因を探り、下痢便の状態や色を観察したり、下痢以外の症状を確認することが重要です。その原因、症状によって下痢の対処法は異なってきます。

■下痢の原因
  • 冷たい食べ物・飲み物、冷房のかけすぎ、気温の変化などによる冷え
  • お酒の飲みすぎ
  • 消費期限の切れた食品、調理から時間の経った料理、鶏肉、卵、牛肉、刺身、生カキなど食あたりになりそうな食物や生ものを食べた
  • 焼肉、牛乳、リンゴジュースなど脂肪分・糖分の多い食物を食べすぎた
  • 刺激の強い食べ物・飲み物:香辛料の多い料理、コーヒー、炭酸飲料など
  • 海外旅行先での水道水・氷、硬度の高い飲料水などいつもと違う飲み水を飲んだ
  • 学校・会社に行く前や通勤・通学途中の緊張したとき、受験・会議・面接など大切な出来事の前などの精神的なストレス
  • 風邪:おなかの風邪による下痢・吐き気・嘔吐
  • 抗生物質などの薬
  • 腸自体の炎症や腫瘍等によるクローン病・潰瘍性大腸炎等の器質的な疾患
■症状
  • 便の色はいつもと同じで液状またはペースト状態
    日常的に起こりがちな冷え、ストレス、食あたり、水あたり、消化不良などによる下痢です。市販の下痢止め薬を服用することをおすすめします。
  • 便に血が混じっている
    ほとんどが大腸の病気による出血で、大腸の炎症や潰瘍による疾患の可能性があります。痔が原因による出血もあります。また、赤痢、O-157などの感染による重篤な食中毒の疑いもあります。医療機関での受診が必要です。
  • 便が黒っぽい
    食道、胃や十二指腸など上部消化管での出血があると、便が黒っぽいタール便になります。胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの可能性が考えられますので医療機関での受診が必要です。
  • 便に粘液が混じっている
    下痢の時は腸の粘膜が傷んでいるので、粘液が混じってくることがよくありますので、食あたり、水あたり、消化不良・冷え・ストレスによる下痢と考えられます。しかし、粘液の量が多い、粘液便が続く、血液が混じっている場合には医療機関で受診してください。
  • 便が白い液状
    米のとぎ汁状の下痢はコレラ特有の症状です。また、乳幼児での白色の下痢はロタウイルスによる可能性があります。医療機関で受診してください。
  • 吐き気・嘔吐がある
    食あたりの場合には、吐き気・嘔吐の症状もあります。重篤な症状でなければ、まずは市販の下痢止め薬を服用することをおすすめします。
  • 発熱がある
    重篤な食中毒による下痢の可能性があります。医療機関で受診してください。
  • 発疹が出ている
    アレルギーによる下痢の可能性があります。原因となる食べ物は控えてください。
2.下痢止め薬で対処しましょう
ポイント
楽しい日常生活を送るためには、早めに治療を。

下痢止め薬には、その作用メカニズムによって様々なタイプがあります。
原因と症状を手がかりに、下痢止め薬を選んで服用しましょう。

■腸管運動正常化タイプ

木クレオソートは、腸のぜん動運動を正常化し、腸管内の水分分泌を抑制、水分吸収を促進する作用があります。正常な腸の働きを止めることがないので、下痢になったときのファーストチョイスにおすすめです。

■整腸剤タイプ

乳酸菌は、下痢時の乱れた腸内菌叢のバランスを整え、おだやかに腸の働きを正常状態に戻しますが、下痢の症状を改善するものではありません。下痢止め薬との併用が効果的です。

■殺菌剤タイプ

殺菌作用があるので、食あたりに効果があるといわれています。腸内殺菌剤のアクリノール、塩化ベルベリンやタンニン酸ベルベリンなどが配合されています。

■ 腸管運動抑制剤タイプ

神経の働きを抑え、腸のぜん動運動を抑制し、水分分泌を抑制します。

  • 塩酸ロペラミドは、腸管のオピオイド受容体に作用し、腸のぜん動運動を抑制、腸管における水分・イオンの分泌を抑制、吸収を促進することで止瀉効果を発揮します。しかし、塩酸ロペラミドは、腸の運動を抑制するので細菌性の下痢には使用できません。
  • ロートエキスは、副交感神経を遮断し、下痢止め薬以外にも胃腸薬の鎮痛鎮痙薬として使用されています。副交感神経に作用するので、副作用として口中の渇き、便秘、散瞳、頻脈といった症状があります。緑内障や排尿困難の方は、症状を悪化させる恐れがありますので使ってはいけません。

注意!!: 「口が渇く成分」が含まれていることがあります

■ 収れん剤タイプ

収れん剤とは、腸粘膜のたんぱく質と結合して沈殿膜をつくり、腸壁を保護して炎症を抑える成分のことです。タンニン酸アルブミン、次硝酸ビスマスなどがあります。

3.水分を十分摂って快復を待ちましょう

下痢は腸の働きが異常になっているので、腸を安静にしてあげることが重要です。おなかをあたため、できるだけ安静にして様子をみてください。正常な便にもどるまでは、消化のよい食事を心がけることも大切です。
激しい下痢や、下痢が長く続くと、体内の水分・電解質・栄養分が失われます。脱水症状や栄養失調を引き起こすこともあります。特に高齢の方やお子様では、これらの状態が悪化すると生命の危険もありえます。下痢の時は、十分な水分補給を心がけてください。経口補水塩のような体に電解質を吸収しやすい飲料の摂取が大切です。

4.数日間経っても治まらないときは、病院へ行きましょう

下痢止め薬を服用後、数日(4~5日が目安)経過しても改善が見られない場合は、大腸ガンや潰瘍性大腸炎、クローン病などの腸自体の炎症や潰瘍によるもの、慢性膵炎などの疾患の可能性も考えられます。医療機関での受診をおすすめします。



ページトップへ