社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

セイロガン糖衣A裁判最高裁決定

2014年10月21日

今回は、先日出されました、セイロガン糖衣A裁判の最高裁決定について、書いていきます。

2011年10月6日に大阪地裁に提訴し、その後、昨年9月26日に大阪高裁により敗訴判決が出された「セイロガン糖衣A裁判」。

その後の昨年10月3日、最高裁に上告受理の申し立てを行いましたが、本年10月9日、同裁判所より、本事件を上告審として受理しない旨の決定が下されました。

これにより、当社の請求を棄却した大阪高裁の判決が確定し、当社の敗訴が確定することとなりました。

大阪高裁の判決で、勝訴まであと一歩というところまで来ていただけに、今回の結果は非常に残念であり、悔しいです。

ここで、本事件をご存じない方のために本事件の概要と各裁判所の判断内容を簡単に説明したいと思います。

この事件は、キョクトウ㈱が製造販売し、パッケージ正面に「正露丸糖衣S」と表示された製品が、当社製品「セイロガン糖衣A」に類似しているとして、不正競争防止法に基づき製品の差し止めと損害賠償を求め、提訴した事件です。

この裁判の争点は、以下の3点でした。
①当社製品の名称である「セイロガン糖衣A」が周知著名な(全国的に有名な)表示と言えるか。
②相手方製品の正式な名称は「正露丸糖衣キョクトウ」であるが、消費者はパッケージ正面に記載された「正露丸糖衣S」(セイロガントーイエス)を相手方製品の製品名と考えるのかどうか。
③当社製品と相手方製品の名称(セイロガン糖衣Aと正露丸糖衣S)ないしはパッケージは不正競争防止法上類似しているといえるかどうか。

なお、一部報道では、「正露丸が一般名称か」が争点であるかのような報道がされていますが、本事件の争点は上記3点で、「正露丸が一般名称か」は争点ではありません。

まず大阪地裁は、争点①から③の全てを否定し、当社の請求を棄却しました。

これに対し大阪高裁は、争点①を肯定し、争点②についても、相手方製品のパッケージの記載等から、相手方製品の製品名は「正露丸糖衣S」であり、「セイロガントーイエス」と読むことができると判断しました。

さらに大阪高裁は、争点③(類似性)についても、当社製品と相手方製品の製品名の呼び方(「セイロガントーイエー」と「セイロガントーイエス」)は似ているし、その製品名から連想されるもの(いずれも糖衣錠タイプの正露丸)についても類似しているとしました。

しかしながら、外観、つまり見た目が似ていないとして、結局、争点③(類似性)を否定し、当社の請求は認められませんでした。

最高裁では、裁判のルール上、判例違反または重要な法律問題しか争点として取り上げることができないため、本事件において当社製品との類似性を否定するような結論が出てしまう、これまで最高裁が採用していた類似性の判断基準は、不正競争防止法の解釈からしてもおかしいとして、学者や一部の地裁で採用されている基準を提示し、この基準を採用すべきであること、この基準を適用すれば、当社製品と相手方製品との間の類似性は肯定されると主張しました。

しかしながら最高裁は、当社の主張を認めず、冒頭申しました決定を下したのです。


「セイロガン糖衣A裁判」を契機として始まりました本ブログも、今回で最後となります。

今回を入れて122回。正直、ここまで続くとは思っていませんでしたが、読者の皆様には、長い間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。

結局、いずれも敗訴ということで、悔しい結果ではありましたが、成果もありました。

実は、1996年に当社が提訴し、1999年に下された判決において、ロゴタイプの「セイロガン糖衣A」が周知著名であることは認められていました。

ただ、この裁判は当社の勝訴により第1審(地裁)段階で確定しましたので、「セイロガン糖衣A」が周知著名な表示であるかについての高裁段階での判断はありませんでした。

今回の裁判により、高裁段階で初めて「セイロガン糖衣A」が周知著名であることを認めていただき、しかも1999年の判決時点ではロゴタイプの「セイロガン糖衣A」の周知著名性しか判断していませんでしたが、今回は一歩進んで、標準文字での「セイロガン糖衣A」の周知著名性も認めていただきました。

これは「セイロガン糖衣A」という表示の保護範囲が高まったことを意味します。


ところで、2011年に当社が今回の提訴に踏み切ることができたのも、1996年に「セイロガン糖衣A」の類似品に対し提訴した裁判の勝訴判決があったことが大きいです。

今回の裁判は敗訴しましたが、「『セイロガン糖衣A』ブランドの保護」というミッションは今後も続きますし、今後出てくる類似品に対して、裁判という手段を用いる場合も出てくるでしょう。

その時に、今回の裁判で得た判断内容がそのアクションの後押しになり、その結果、勝訴判決を得ることができれば、これ以上に嬉しいことはありません。

最後に、今後も大幸薬品の「正露丸」「セイロガン糖衣A」をご愛顧いただきますよう、お願い申し上げまして、本ブログを終了したいと思います。

長い間、本当にありがとうございました!

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