社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

マタハラ訴訟

2014年9月25日

今回は、マタニティー・ハラスメントに関する裁判について、書いていきます。

「マタニティー・ハラスメント」という言葉をご存知でしょうか。

これは、いわゆるセクハラやパワハラなどと並ぶハラスメント(嫌がらせ)の1種で、明確な定義はないものの、妊娠や出産を理由に職場において不利益な取り扱いを受けることを意味するようです。

今回紹介する裁判は、このマタニティー・ハラスメント、いわゆるマタハラが問題になった裁判です。

事案の概要ですが、理学療法士として、また管理職として働いていた女性が妊娠を理由に業務負担の軽い部署への異動を希望したところ、異動後に管理職の職を解かれ、降格させられたとして、管理職手当など約170万円の損害賠償を求め、勤務先を提訴したものです。

男女雇用機会均等法では、女性労働者が妊娠したことを理由に、会社が解雇その他不利益な取り扱いをすることを禁止しており、今回の裁判はこれを法的根拠の1つにしています。

第1審、第2審では原告側が敗訴しましたが、報道によれば、その理由として、異動は本人の同意を得た上のことであったし、事業主としての必要性に基づく裁量の範囲内の対応であったとして、原告側の主張を認めなかったようです。

その後、原告である女性はこれを不服として最高裁に上告受理の申し立てをしたわけですが、先日の9月18日、最高裁において、上告人である女性側と被上告人である勤務先側の意見を聞く弁論が開かれました。

「最高裁において弁論が開かれる」という意味についてですが、最高裁における通常の審理は、上告人からの上告受理申立理由書等の書面により行われ、弁論が開かれることはほとんどありません。しかしながら、これまでの判例を変更する場合や第2審までの判断を覆す場合等に開かれることがあります。

そうしますと今回、最高裁において弁論が開かれたのは、第1審及び第2審の判断を変更する可能性が高いためと思われます。

しかし、弁論を開きながら、結局、結論は変えなかったという場合もあり、判決が下されるまで結論がどうなるのか予断を許しません。

なお、報道によれば判決日は10月23日の予定だそうです。どのような判決が下されるか注目です。


ところで当社でも妊娠、出産をされる女性社員はいますが、私の見たところ当社では産休を取得し、その後職場復帰されている方が多いと思います。

そして産休に入る社員のいる職場では、産休の間は別の人を採用したり、その部署にいる別の社員がその人の業務を引き継ぐなどして、その人の仕事を補います。

そして、職場復帰された後は、産休に入る前と同じ部署で、かつ産休前とほぼ同じ業務を続けてもらっているケースがほとんどです。

ただ、このような対応ができるのも、産休に入られる社員が早めに会社に相談するからこそ可能になることですし、そしてその部署のメンバーや会社も、その人の復帰を前提とした人員配置や業務の割り振りを行うことで可能になるものです。

このように、産休に入る女性労働者と会社双方がお互いを気遣い、配慮し合うことで、上記の対応が実現できているのです(非常に手前味噌で恐縮ですが)。

そういった意味で、マタハラの問題は、その会社が社員をどれだけ気遣っているか、社員とその所属する部署との信頼関係がどれだけ構築されるかを推し量ることができる問題だと思います。

今回取り上げた裁判も、裁判になる前に、双方が納得がいく解決はできなかったのでしょうか。

またこういった事案では、第1審ないし第2審の途中で和解により終了するケースが多いのですが、なぜそのようなことにならず、最高裁まで争われることになったのかも気になるところです。

ともあれ、使用者側、労働者側双方の相手の立場を理解した、配慮ある態度で、気持ち良く仕事を進めたいものです。

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