社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

民法が改正されます

2014年9月 1日

今回は、現在検討されている民法改正について、書いていきます。

法務大臣の諮問機関である法制審議会民法(債権関係)部会は、先月26日、民法改正に関する要綱案を公表しました。

この部会では、民事ルールの基本法である民法の、主に契約ルールについて定める「債権」関係の条項について、社会・経済への対応の変化を図り、国民一般に分かりやすいものにする等の観点から、約5年前より改正案の検討を行ってきました。

そしてこのたび改正案がまとまったわけです。

今後は、来年2月頃に改正要綱として法務大臣に答申し、これを受け法務省は民法改正案を作成し、来年の通常国会に提出する予定とのことです。

ところで、民法は条文数が「1044条」もある大法典で、制定されたのは120年前の明治時代にまで遡りますが、これまで抜本的な改正は行われていませんでした。

しかしながら、流石に明治時代からは社会そして経済の状況も劇的に変化していますから、法務大臣の諮問に基づき、上記部会にて検討が行われてきたのです。

今回の改正案の検討は、先ほども言いました通り契約のルールについて定める「債権」関係の条文です。

この条文は契約のルールについて定める条文ですから、今回の改正は、私たちの生活や企業活動にも当然影響があります。

それでは今回の改正案の内容をいくつか紹介しますと、まず消滅時効の規定が大きく変わります。

(消滅時効とは、自己が他人に対して何らかの財産上の請求ができる権利を有していても、一定期間その権利を行使しなければその権利は消滅してしまうという制度です)

現在、飲み代、ホテル代の消滅時効は1年、弁護士費用は2年、病院の治療代は3年です。

今回の改正案では、これらの債権の消滅時効は、業種を問わず「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」とされています。

具体的には飲み屋の店主は、客に飲食を提供した時から、これまでは1年間しか請求する期限はなかったのですが、それが5年間、請求できるようになります。

この改正は、現在の民法の規定が消滅時効を業種ごとに列挙しているところ、その列挙が全ての業種を列挙したものではなく不公平であったこと、また条文の内容も分かりにくかったことが主な理由です。

次の主な改正点は、「個人保証の厳格化」です。

これはつまり、個人が安易に保証人とならない様、個人が他人の債務の保証人となる場合、公証人に保証人の保証意思を厳格に確認させるということです。

具体的には、個人が他人の保証人になる場合には、保証契約に先立って、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示した公正証書を公証人に作成してもらわなければ、保証契約の効力は生じないものとされました。

つまり、これまでのように、保証契約書を作成し、それに保証人になろうとする者が署名押印するだけでは保証契約はその効力を生ぜず、これに加え、公正証書を作成しなければならなくなったということです。

そしてこの公正証書を作成する際、保証人になろうとする者が、同証書を作成する公証人に対し、保証人により保証される主たる債務の債権者と債務者、その金額、利息、違約金等の内容、そして保証債務を履行する意思を口頭で述べなければならないとされています。

契約を締結する際、契約を締結する当事者自身が、公証人といういわば第三者に契約内容を口頭で伝えなければならないというのは異例ですが、これは保証人に保証債務を負担することの認識を十分にさせ、安易に保証契約をしないことへの注意喚起という意味があるのだと思います。

ただ、公証人も公正証書の作成を拒否できるわけでなく、いかにリスクの高い保証契約と言えども公証人がこれを止めることはできないと思いますので、この改正により個人保証のトラブルが減るのかどうかは、運用してみなければ分かりません。

この他、これまで明確に規定されていなかった「敷金」について、民法上明確に規定したことや、民法上の法定利率を5%から3%に引き下げるとともに、3年ごとの変動制も導入される等今回紹介したもの以外にも我々の生活に関係する規定が様々改正案に盛り込まれています。

最終的にどのような改正案となり、どのような形で国会に提出されるかは不明ですが、皆さんの生活や企業活動にも関係する法律の改正です。

注視をしておいて損はないと思います。

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