社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

「セイロガン糖衣A」裁判 大阪高裁判決 その1

2013年10月16日

今回は、先月出されました、「セイロガン糖衣A」裁判の大阪高裁判決について語っていきます。


ブログの更新が滞っておりました。すみませんでした。

さて、先月26日、当社が進めております「セイロガン糖衣A」裁判の大阪高裁判決が出されました。

結果は、1審の大阪地裁と同じく、当社敗訴の判決でした。

このように結果的に当社の主張が認められなかったことから、10月3日、最高裁判所に対し上告受理の申し立てを行いましたが、他方、今回の大阪高裁判決は当社の主張を認めた点が多々ありました。

では、今回の大阪高裁判決がどのような内容だったのか、できるだけわかりやすく解説したいと思います。

今回の裁判における争点は、大きくいって3点です(これは実際の判決文に記載されている争点とは異なり、またこれ以外にも争点がありますが、皆さんに理解していただくためにあえて絞らせていただきました)。

①「セイロガン糖衣A」は、当社商品の商品表示として周知著名であるか
②相手方商品の商品名は「正露丸糖衣S」であり、その称呼(読み方)は「セイロガントーイエス」であるか
③「セイロガン糖衣A」と「正露丸糖衣S」は類似しているといえるか

まず、争点①について、大阪高裁は「セイロガン糖衣A」の各要素である「セイロガン」「糖衣」「A」自体には、自他商品識別力を認めることはできないとしながらも、

平成11年の大阪地裁判決において、「セイロガン糖衣A」が周知著名な商品表示であると判断されていること、当社がその判決以降も「セイロガン糖衣A」の広告宣伝に多額の費用を費やし、その結果、糖衣錠タイプのクレオソートを主剤とする胃腸薬の分野において抜群の市場占有率を維持していること等を認定し、「セイロガン糖衣A」は当社商品を示す、周知著名な商品表示であると判断しました。

また、「セイロガン糖衣A」という表示に自他商品を識別する力はなく、ラッパのマークと当社の会社名(大幸薬品)で自他商品を識別できるとする相手方の反論に対しても、「セイロガン糖衣A」はラッパのマークとは「独立して」、当社商品であることを示す商品表示であり、自他商品の識別性を獲得していると判断しました。

これまで「『セイロガン糖衣A』が周知著名な商品表示である」ことは大阪地裁のみの判断でしたが、今回はその上級審である大阪「高裁」でも同様の判断をいただいたということで、今回の判決には当社にとって意義があると私は考えています。

さらに、平成11年の大阪地裁判決では、ロゴマークセイロガン糖衣Aロゴ.pngの周知著名性を認めたのみでしたが、今回の大阪高裁判決は、上記ロゴマークとしての「セイロガン糖衣A」だけではなく、「標準文字」としての「セイロガン糖衣A」の周知著名性も認めました。この点でも、今回の判決は平成11年の大阪地裁から一歩進んだ判決となっています(なお、「標準文字」としての「セイロガン糖衣A」について周知著名性が認められたことの意味については別の機会に触れたいと思っていますが、「セイロガン糖衣A」のマークとしての力が高められたことは間違いありません)。

そして、争点②についてですが、この点についても当社の主張を認め、以下の相手方商品は「正露丸糖衣S」であり、その称呼は「セイロガントーイエス」であると認めました。

正露丸糖衣S.png


1審の大阪地裁判決では、この点につき、「正露丸」「糖衣」「S」は、文字の大きさ、字体、色が全く異なり、明確に分けて記載されていることが明らかであるから、「正露丸糖衣S」と一連一体のものとして記載されているとはいえない、と判断していたことと比べれば、相当大きな前進です。

大阪高裁がこのような認定をした理由ですが、第1は「セイロガン糖衣A」のようなドラッグストア等で販売されている一般用医薬品では、「ムヒアルファEX」や「アリナミンEXプラス」等のように、文字のフォント、色、大きさ等を変えたうえで、横書きで2段ないしは3段に上から下に標記しているものが多数存在し、それらは一連に商品名が呼ばれていることは、一般用医薬品を購入する消費者にも馴染んだ状況になっているという取引の実情です(これは1審の時から当社が主張してきたことでした)。

そして第2は、当社が高裁での審理中に実施したアンケート結果です。

このアンケートは、相手方商品を見て商品名をどのように認識するかをインターネット調査にて尋ねたアンケートなのですが、この結果、「正露丸糖衣」と回答した人が全体の45%と一番多かったものの、「正露丸糖衣S」と回答した人がその次に多く、「30%強」を占めていたのです。

さらに「正露丸糖衣S」と回答した人の中でも、「セイロガン糖衣A」を知っている人と知らない人で、「正露丸糖衣S」と回答した人の比率を比べたところ、なんと前者は後者の2倍以上高かったという結果が出たのです(つまり「セイロガン糖衣A」を知っている人ほど、相手方商品名を「正露丸糖衣S」と認識しやすいという結果が出たのです)。

大阪高裁は、このアンケート結果も引用し、相手方商品は「正露丸糖衣S」であり、その称呼(呼び方)は「セイロガントーイエス」であると認定しました。

長くなってしまいましたので、今回はこれにて終了しますが、次回のブログにて、なぜ当社の請求が結局認められなかったのかを明らかにしたいと思います。

(次回まで待ちきれない方は、10月3日付の当社リリースをご確認ください!)
http://www.seirogan.co.jp/news/20131003Toi-Asaikousai.pdf

[カテゴリー:]

< 万国国際法学会 記事一覧 「セイロガン糖衣A」裁判 大阪高裁判決 その2 >

y[Wgbv