社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

万国国際法学会

2013年9月17日

今回は先日、東京などで総会が開催されました万国国際法学会について語っていきます。

「万国国際法学会」は、1873年、19世紀末からの国際紛争の法による解決を目指す機運の高まりを背景に、欧州諸国を中心とする法学者がベルギーに会し、国際法の発達と国際法の実施を目指す国際的な学会として発足したそうです。

この学会の総会は、発足以来原則として2年毎に行われ、過去には欧州各国で実施されることが多かったのですが、近年では各大陸ごとに行われるようになり、今回の日本での開催(9月8日から14日)はアジアでは初なのだそうです。

この学会では、その時に問題になっている人道的問題(今ですとシリア問題)や大規模災害等の諸問題について、世界各国の国際法の権威が、これらの問題の対処法を議論し、国際社会への提言としての決議を採択するということを主に行っています。

これまで取り上げたテーマは200を超え、その決議内容は、戦前から現在まで国際会議等に大きな影響力を持ち、1904年には紛争への平和的解決に関する一連の活動が高く評価され、ノーベル平和賞を受賞しています。

報道によれば、この学会の現役会員は、約150人で、そのうち日本人会員は4人いるのですが、そのうち1人がなんと、この学会の会長をされています!(オランダのハーグにある国際司法裁判所の裁判官をされている小和田恒(ひさし)氏)

この学会は世界各国の国際法に関する権威が集まる学会であり、その準会員になるだけでも厳しいハードルがあるようです(国際法の発展に理論面又は実務面で貢献した者の中から選挙により選ばれます)。

ですので、その会長に選出されるということは、学識面、経歴面、人格面等において相当の評価を受けてのことなのだと思います。

この小和田氏のインタビューが新聞に掲載されていましたので、読んだのですが、それによれば、現在の国際法における課題は、シリアでも問題になっている「人道的理由による軍事介入の是非」なのだそうです。

なぜこれが国際法上問題になるのかといえば、現在、国際法上の正当な武力行使として認められるのは、国連安保理決議を経たものと、侵略を受けた国の自衛の2つのケースのみなのです。

(過去には戦争も紛争解決のための正当な手段として認められた時期もあったようですが、この学会等の懸命な努力により現在では国際法上違法と扱われています。)

よって、たとえ当該国の政府が国民に残虐な人権侵害行為をしていたとしても、当該国以外の国は、国連安保理決議がなければ、国際法上正当な武力介入はできないのです。

現に存在する人権侵害行為は武力介入をしてでも食い止めなければならないという考えと、無制限に軍事介入を認めてしまえば、また過去のように戦争も紛争解決の正当な手段という考えを復活させてしまうのではないかという2つの考えにどう折り合いをつけるか、この学会において、真剣に議論されているそうです。

今回紹介しました万国国際法学会やその会長を日本人が務めていることは、私自身、今回の総会の報道がなされるまで、正直全く知りませんでした。

今回の総会は私の知る限りテレビでもあまり取り上げられることはなく、ネット上のニュースでもほとんど取り上げられていませんでしたので、知らない方も多いと思いますが、知っておいた方がいい法的トピックスと思い、紹介しました。

本ブログでは今後も、このような法的トピックスを取り上げていきたいと思います。

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