社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

非嫡出子相続分規定違憲決定

2013年9月 9日

今回は、先日9月4日に出された、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とした民法の規定に対する最高裁判所の違憲決定について語っていきます。

この裁判については、本年7月16日付のブログでも触れさせていただきました。

これは、婚姻届を役所に提出し、法律上の夫婦となった者との間に生まれた「嫡出子」と、そうではなく(婚姻届を役所に提出しておらず)、法律上の夫婦でない者との間で生まれた「非嫡出子」との相続分について、後者が前者の2分の1になっている民法の規定が、法の下の平等をうたう憲法14条1項に違反しないのかどうかが問題となっている裁判で、これまで最高裁は、この規定は憲法14条1項に違反しないと判断し続けてきました。

しかし、本年7月、最高裁で弁論が開かれたことから、今回、最高裁はこれまでの判断を変更し、違憲の判断を下すのではないかと報じられてきました。

そして9月4日、最高裁は、この規定を憲法14条1項に違反すると判断したのです。

判断の決め手となったのは、報道でもよく報じられているところではありますが、「婚姻、家族の著しい多様化、これに伴う婚姻、家族のあり方に対する国民の意識の変化が大きく進んだ」ことでした。

これは実際判決文に書いてあることですが、具体的には、非嫡出子の出生数が現在も増加傾向にあること、平成期に入って以降は、晩婚化、非婚化、少子化が進み、これに伴って中高年の未婚の子供がその親と同居する世帯やいわゆる単独世帯が増加していること、離婚件数、特に未成年の子供を持つ夫婦の離婚件数、再婚件数も増加していることを挙げています。

また判決では諸外国の状況にも触れられており、当初欧米諸国では、嫡出でない子に対する差別意識が強く、その相続分を制限する状況にありましたが、現在、欧米諸国で我が国のような差別をもうけている国はなく、世界的にも限られた状況であることを指摘しています。

さらに国連の関連組織(自由権規約委員会)が、平成5年以降、嫡出でない子に対する差別的規定の削除等を日本に繰り返し勧告していたことにも触れています。

その他、様々な社会的状況の変化、動き(本規定の見直しを含めた民法改正案の検討状況等)を認定した上で、これらの事情を総合的に考察し、「家族という共同体における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らか」であり、

親が法律上の婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきであるという考えが確立されてきていると判断しました。

以上の様々な理由によって、今回最高裁は、本規定を憲法14条1項に違反していると判断したのです。

この判断に対し、合憲とする立場からは、家族等に対する国民の意識の多様化といわれつつも、やはり法律婚を尊重する意識は国民の間で幅広く浸透しているのではないか、との反論が予想されるところですが、これに対して最高裁は「個人の尊重と法の下の平等を定める憲法に照らし、嫡出でない子の権利が不当に侵害されているか否かという観点から判断されているべき法的問題」であり、法律婚を尊重する意識が浸透しているということ等の事情は、「上記法的問題の結論に直ちに結びつくものとはいえない」として、これを一蹴しています。

ともかくもこの最高裁の決定により、この民法の規定は見直される予定とのことです。

なお、この決定について、マスコミの論調は概ね賛成しているように思えます。

皆さんはこの判決、どのように思われましたでしょうか。

今回のように最高裁まで争う事件となっているのは、当然のことですが、嫡出子側と非嫡出子側とで遺産相続の取り分について争っているからです。

今回の決定は、非嫡出子にとっては喜ばしい決定ですが、嫡出子側からすれば納得のいかない決定であり、この溝は民法が法律婚主義をとる以上、仮に今回問題となった規定が改正されたしても埋まらないと思います。

やはりこのような状況を作り出さないということが第一と考えます!(自分が死んだ後、自分が残した遺産を巡って子供同士が争うというのはやはり気持ちのいいものではないと思いますので)

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