社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

中国のある法律

2013年8月19日

今回は、「親元への帰省」に関する中国の珍しい法律について語っていきます。

お盆が終わりましたね。

皆さんはご実家に帰省されましたでしょうか。

ところで、中国で今年7月、「親元への頻繁な帰省を義務づける」法律が施行されたそうです。

これを聞いて、「えっ」と思われた方が多いのではないでしょうか。

報道によると、中国の「高齢者権益保障法」という法律が改正され、その法律には、概要「頻繁に帰省して親の面倒を見る」ことが義務づけられているそうです。

そのほか、この法律には、「家族は高齢者の精神状態に配慮して、冷遇してはならない」との趣旨の条項もあるそうです。

上記の条項に違反したとしても特に罰則はないようですが、この法律の施行後、同法を適用した中国での裁判がありました。

この裁判は、母親が、離れて暮らしている娘夫婦に、家賃や医療費、そして定期的に家に帰ることを求めたもので、裁判所は、この親の請求を全面的に認め、この娘夫婦に「2ヶ月に1回は親元に帰ること」を命じました。

このようなことは、日本では考えられないことだと思いますが、それではなぜこのような法律ができたのでしょうか。

報道によれば、中国における「一人っ子政策」等により、急激な高齢化が進んだこと、農村部の若い夫婦が都市部に出稼ぎに出て、農村には、親のその孫ないしは親のみが残されるケースが増え、高齢者の孤独死やいわゆる「老老介護」も増えていっていること等が背景にあるようです(その他、「子供による親の虐待」の社会問題化も背景にあるといわれています)。

ただ、当然のこととして、心情の問題ともいえる親元への帰省や親孝行を法律で強制することには中国国内でも賛否両論があるようですし、本当に親不孝で帰省しないならまだしも、経済的に帰省が難しいケースも多いらしく、中国政府がこの法律をどのように運用するのか、注目したいところです。

ところで、日本の法律にもこれに近い法律の条文はないのでしょうか。

さすがに帰省を義務づけるような条文はありませんが、「民法」という法律の第730条に以下の条文があります。

「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」

「直系血族」とはいわゆる「親」と「子」のことを意味しますので、つまりはこの条文は「親と子は互いに扶け合うこと」を義務づけているのです。

具体的には、子供が経済的に苦しいときには、親は金銭的援助をすることにより子を助ける、親が病気で1人で生活できないときは、子が親の面倒を見てあげることも意味します。

よって、具体的な条文の書きぶりは違いこそすれ、日本でも上記の中国の法律と同じような法律は、実はあるのです。

(ちなみに「民法」では夫婦間の義務も定めており、第752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定めています。単身赴任されている方は少しドキッとされたのではないでしょうか。なお、先に紹介した第730条もこの条文も、違反した場合の罰則規定は特にありません。)

今回は、「親元への帰省」に関する中国の珍しい法律について紹介するとともに、そこから関連する日本の法律も紹介しました。

このような法律の知識がなくとも、今の自分があるのは、やはり「親」のおかげであるという気持ちを持ち、これからもお盆等何らかの機会にその感謝を表していきたいものですね。

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