社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

非嫡出子相続分規定と最高裁決定

2013年7月16日

今回は、婚姻関係にない男女から生まれた子(非嫡出子)の相続分が、婚姻関係にある男女から生まれた子(嫡出子)の相続分の2分の1とされている民法の規定に対する最高裁決定について語っていきます。

先日、非嫡出子の相続分を嫡出子のそれの2分の1とする民法の規定について、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反するとして、非嫡出子側が最高裁に特別抗告した事件の弁論が開かれたことが報道されました。

この弁論は、原則として最高裁裁判官全員が参加する「大法廷」で開かれたのですが、この「大法廷」は憲法判断や判例変更をする場合に開かれているため、これまで上記民法の規定を合憲、つまり憲法14条1項に違反しないとしていた従来の最高裁の判断を変更するのではないかとして注目されています。

ここで、まず憲法の条文を見てみると、14条1項は以下の通り定めています。

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

そして非嫡出子たる身分が上記の「社会的身分」にあたることはほぼ異論がありません。

しかしながら、上記の「平等」については、合理的根拠に基づく「合理的区別」は許容されると考えられています。

その上で上記民法の規定を合憲とする立場は、上記民法の規定について、民法は一夫一婦制による法律婚主義を採用しており、この下で生まれた嫡出子の立場を尊重するとともに、そうでない非嫡出子の立場にも配慮し、非嫡出子にも嫡出子の2分の1の相続分を認めることで「法律婚主義の尊重と非嫡出子の保護の調整を図ったもの」ととらえます。

そして、上記趣旨からすれば、上記民法の規定には合理的根拠があり、上記民法に定める嫡出子と非嫡出子の区別は合理的な区別であるとして、憲法14条1項に違反しないと考えます。

他方、上記民法の規定を違憲とする立場からは、自らの出生をコントロールできない非嫡出子の立場をより重視し、このように自らの出生をコントロールできない非嫡出子と嫡出子の相続分の間に区別を設けるのは、法律婚主義の尊重という立法目的を超えるものであり、合理的根拠に基づく合理的区別ではなく、非嫡出子という「社会的身分」により「経済的又は社会的関係」において「差別している」と主張します。

そのほか、この立場は、非嫡出子に対する社会の意識の変化、非嫡出子の地位向上に向けた諸外国における立法の趨勢等、この規定を基礎づけた社会的事実(立法事実)の変化も根拠にしています(報道によれば、欧米ではこのような差別は撤廃されており、主要先進国でこのような区別を残しているのは日本だけだそうです。また国連からもこのような区別は撤廃するよう再三勧告されているようです)。

これら合憲、違憲それぞれの立場の根拠を聞いて、皆さんどのように思われたでしょうか。

確かにこのような区別は廃止されているのが国際的な趨勢なのかもしれません。ただ、欧米と日本では、家族観や結婚観が違うことも事実です(以前のブログに紹介した「ハーグ条約」に日本が長年加盟しなかったのも、まさにこのことが理由の1つです)。

また、私の個人的な感覚では、事実婚に対する日本人の理解や日本の法制度がそれほど進んでいるようにも思えません。

しかしながら、純粋な憲法解釈として考えれば、「法律婚主義の尊重」という立法理由を考慮しても、非嫡出子は自らの出生をコントロールできないことからすれば、この区別は、「社会的身分」により「経済的又は社会的関係」において「差別」しており、憲法14条1項に違反すると考えるのが素直であると思います。

そういった意味でこの問題は、「法律論」と「事実論」をいかにバランスよく考えるかにかかっているといっても過言ではなく、結論を出すのが非常に難しい問題です。

最高裁は今年の秋にも判断を下す予定とのことですが、どのような根拠で、どのような判断を下すのか注目したいところです。

ただ、最高裁がどのような判断を下すにせよ、嫡出子側、非嫡出子側双方が共に納得するというのは難しく、どちらかは納得のいかないままこの事件は終わらざるを得ません。

このようなことが起こらないようにするためにも、親世代である我々は、このような区別が現実に存在することを頭に入れた上で、人生設計や家族構成について、真剣に考えるべきだと思います。

一番傷つくのは、嫡出子であれ、非嫡出子であれ、自らの出生をコントロールできない「子」なのですから。

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