社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

外国語の使いすぎは違法?

2013年7月 2日

今回は、ある男性がNHKに対し、放送における外国語の使用し過ぎにより精神的苦痛を受けたとして訴訟を提起した件について語っていきます。

報道によると、71歳の男性が、NHKが放送において外国語を多用することにより内容を理解できず、精神的苦痛を受けたとして、名古屋地方裁判所に対し、141万円の損害賠償を求めたそうです。

具体的には、NHKが、その番組内で「リスク」や「ケア」など、外国語を使わなくても表現できる言葉を多用しており、番組名にも外国語を乱用。視聴者の大部分が理解できる言語で製作されておらず、憲法で保障された知る権利や幸福追求権を侵害していると主張しているようです。

この男性が、本裁判で理解が困難な言語として挙げているのは、上記の「リスク」「ケア」の他、「システム」「イブニング」「コンプライアンス」「コンシェルジュ」「アスリート」「ディープ」などの言葉です。

この男性は、一昨年末、NHKにこの件についての公開質問状を送付しましたが、NHKから回答がなかったため、今回の訴訟に踏み切ったとのことです。

確かに「リスク」や「コンプライアンス」は、職業柄理解はできますが、「コンシェルジュ」って何と聞かれて、これを日本語で即答することは結構難しいように感じます。

また「アスリート」についても単純に「陸上選手」等に言い換えて報道しても別にいいのではないかと個人的には思います。

しかしながら、当然、NHKにも「報道の自由」や「表現の自由」がありますし、上記のような表現の方がむしろ理解がしやすいという視聴者も当然いると思います。

加えて、少し専門的な話になるのですが、原告が主張している「憲法」ですが、この法は「国」(地方公共団体も含む)や「行政機関」の行為を規制するためのもの、つまり「国」や「行政機関」が、憲法上保障される国民の権利・自由(表現の自由や信教の自由、幸福追求権)を侵害することを禁じたものであり、NHKなど「国」や「行政機関」でないものの行為には直接適用はできないのです。

このような状況の下、原告の男性が勝訴判決を得るには、なかなか高いハードルが存在しているように思います。

ところで、この男性のようにニュースや番組で使用している言葉が理解できないというのであれば、そもそもこのような言葉を使用しないということも選択肢の1つではありますが、折角地デジ化になり、番組と同時に文字情報が発信できるのですから、ニュースで出てくる専門用語や難しい言葉の意味を文字情報として同時に提供すれば、今回の男性のような方も少しは減っていくのではないでしょうか。

先日、NHK大河ドラマを見ていた際、同ドラマの連動データで、セリフで出てくる言葉について、解説が施されていました。これは視聴者にとってはありがたいことで、ニュースでも同じようにしたらよいと思います(ただ、事前収録のドラマと違い、生放送のニュースで、放送と同時にというのは、なかなか難しいかもしれません)。

ちなみに新聞では、いつもではないですが、記事に出てくる言葉の解説をしている箇所があり、これは記事の理解に非常に役立ちます。

ともあれ、今回の紹介した裁判について、裁判所が最終的にどのような判断をするのか、注目したいところですが、それと同時に、この裁判が、より視聴者に理解しやすい報道になるためのきっかけになればよいと思います。

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