社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

成年被後見人に選挙権付与へ

2013年6月 4日

今回は、成年被後見人への選挙権付与等について語っていきます。

以前のブログで、成年被後見人に選挙権を認めていない公職選挙法は憲法に反するとして、成年被後見人の方が選挙権を付与するよう求め、国を相手に提訴し、1審で勝訴したことを紹介しました。

この判決を受け、国会では、現行公職選挙法の見直し論議が始まり、成年被後見人に選挙権及び被選挙権(候補者として選挙に出馬することができる権利とご理解ください)を認めない旨の規定を削除する公職選挙法改正案が、5月21日に衆議院の全会一致で、同月27日には参議院の全会一致で可決されました。

これにより、7月に行われる参議院議院選挙には、成年被後見人も参加し、投票をすることができることになります。

報道によれば、今回の改正で、約13万6千人(5月27日時点)の方に選挙権が付与されることになるそうです。

このように、公職選挙法が改正され成年被後見人に選挙権が付与されることから、裁判についても、国(行政)は控訴を取り下げるのか、と思いましたが、同法改正後も国は控訴を取り下げない意向のようです。

これはなぜでしょうか。

第1審とはいえ、法律の規定が憲法に違反すると裁判所で認定され、立法機関である国会でさえも、この法律の規定は削除すべきとして、非常に短期間で改正されたのです(判決が3月14日でしたから、約2か月強で成立したことになります)。

にもかかわらず、国(行政)が裁判を継続する意味はどこにあるのでしょうか。

これが仮に「裁判所の法解釈や事実認定はおかしいので、このような判決が確定することは避けたい」という理由のみであれば、国民は納得しないと思います。

確かに同じ法律家として、1審の裁判官が思い切った判断をした場合、その判断が最高裁まで行かずに確定する不満や悔しさは分からないではありません。

しかしながら、実質的には紛争が解決しているにも関わらず、そのような多数の国民にとってはさして重要ではない理由で、訴訟の相手方を不安にさせたり、訴訟対応による経済的・精神的打撃を与えてもよいのでしょうか。

「裁判」は確かに「法解釈、法創造の場」でもありますが、主は「紛争解決」の場だと思います。

今回の公職選挙法の改正により、成年被後見人の選挙権を巡る紛争は解決されたのですから、国(政府)は速やかに控訴を取り下げ、裁判を終わらせるべきであると、私は思います(あくまでも個人的見解です)。

国(政府)が控訴を維持している理由が上記ではないことを祈るばかりです。

話は変わりまして、市販の医薬品のネット販売が厚生労働省令により一律に禁止されたことは薬事法の趣旨に反するとして、最高裁により同省令が無効にされたことを受け、同省で医薬品のネット販売に関する検討会が開催されているそうです。

そして5月31日、この検討会の報告書が公表され、報道によれば、ネット販売を認める医薬品の線引きは行わず、ネット販売の適否についても賛成派と反対派の両論を併記する形となったそうです。

この報告を受け、同省は今後も新たな検討会にて議論していく予定とのことです。

これを聞き、私は正直、ではなぜ厚生労働省令でネット販売を一律禁止にしたのか、その時も今回のような議論をしていたのか、本当に医薬品のネット販売規制は国民が求めていたものなのか非常に疑問に思いました。

また、そもそもネット販売を規制するのであれば、なぜ省令ではなく、薬事法そのものを改正するという手段をとらなかったのでしょうか。この点も非常に疑問です。

成年被後見人への選挙権付与、医薬品のネット販売規制、いずれも裁判がなければ、あまり話題にならなかったでしょうし、今回のような「変化」は起こらなかったと思います。

今回の事例は、何でも決まったことを鵜呑みにするのではなく、疑問をもって、おかしいことはおかしいとして具体的なアクションを起こしていけば、そのような状況は変えることができることを示す好例だと思います。

皆さんは今回のこの出来事をどのように捉えていますか。

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