社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

2つの報告

2013年5月28日

今回は、米国における委員会の報告と、情報流出問題に関する農水省の報告の2つの報告について語っていきます。

報道によれば、米国の前駐中国大使らが委員長を務める委員会が、米国におけるソフトウェア等の知的財産が中国などに侵害され、年間約30兆円以上の損失が出ているとする報告を発表したそうです。

この委員会は米国の元政府高官や元企業幹部等により構成されており、報告では、米国の知的財産の侵害によって生じる被害額は、米国のアジアへの年間輸出額に匹敵すると指摘。そしてこの問題の「50%~80%」は中国に責任があり、対策を強化するよう提言しているそうです。

また、中国が知的財産権をめぐり改善措置を講じれば、米国の雇用は210万人増える等とも指摘しているようです。

この報告を裏付ける調査がどのようにして行われたかは不明ですので、この報告の信ぴょう性がどれほどのものなのか、正直疑問ではありますが、この委員会の構成メンバーやこの調査結果が日本を始め各国にリリースされていることからすれば、ある程度正確性の高い調査に基づいて行われたものだと推測されます。

従前から、中国では知的財産の侵害が横行しており、日本の企業も多大の被害を被っていると言われていましたが、今回の報告はこのことをある程度裏付けるものになったのではないでしょうか。

知的財産保護に関する意識も高く、権利意識も強いと言われる米国においてですら、年間30兆円もの損失を被っているのですから、日本では一体どのくらいの損失を毎年被っているのでしょうか。

米国はよく訴訟社会と言われていますが、企業間での訴訟では限界があり、侵害を引き起こしている国の法制や国民の意識が変わらない限り、知的財産の侵害は減少していかないということを、この報告は示していると思います。

話は変わって、先日、農水省が発表したところによれば、農水省がサイバー攻撃され、機密指定された約124点の内部文書が外部に流出した可能性が高いことが報告されました。

これにあわせて、同省は、外部からの情報流出の指摘があったにもかかわらず、これを放置し、十分な調査をしないまま、流出の可能性が低いと誤った判断をし、その旨外部に説明を行ったこと等の一連の対応が不適切であったことも認めました。

そしてその原因として同省職員の情報流出に対する危機意識の欠如や部署間の連携の不足、担当職員の能力の不足、人事異動時の引き継ぎの不備等を挙げています。

この一連の対応について、マスコミは厳しく批判していますが、そう批判されても仕方のない対応であったと思います。

ただ、原因を見てみると、何も農水省だけでなく、どの企業、団体も起こりうるものばかりです。

今回の農水省の事例。「危機管理能力の低い者によるお粗末な対応」と記憶にとどめるのではなく、「他山の石」として、しっかり学んでいくことが大事なのではないかと思います。

今回の米国の委員会による報告と日本の農水省の報告。どちらも知的財産に関する報告ということで、まとめて紹介しました。

米国の報告からは知的財産侵害による被害は莫大で、これを防ぐことにより雇用も守られうることを読み取ることができます。また企業や、意識の高い国による自助努力にも限界があり、相手国の意識や法制の変革も知的財産侵害を防ぐ上で重要であることが分かりました。

しかしながら、今回の農水省の報告から、情報流出は重大な社会的損失であるとの意識に立ち、各組織が連携し、必要な情報を共有し合い、一体となって対策を講じていくことが重要であることを感じ取ることができました。

皆さんは今回の2つの報告。どのように感じ、考えられたでしょうか。

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