社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

憲法改正

2013年5月 8日

今回は、今話題となっている、憲法改正について語っていきます。

先日の5月3日は憲法記念日でした。新聞紙上でも憲法に関する論評が掲載され、また各政党も憲法改正に関する様々な意見を表明しています。憲法改正の是非は、今度の参議院議員選挙の争点の1つになるようです。

各政党が主張している憲法改正に関する意見のうち、比較的多数の政党が主張しているのは、憲法96条の改正についてです。

同条は、憲法改正手続きについて定めている条項ですが、この条項によれば、憲法を改正するには、衆参両議院の「総議員」の「3分の2以上」の賛成により憲法改正を発議し(国民に提案する憲法改正案を決定すること)、その上で「国民投票」により「過半数」の賛成を経なければならないと定めています(ちなみにこの「国民投票」は通常の国政選挙と異なり、「18歳以上」の日本国民に投票権が与えられています(日本国憲法の改正手続に関する法律))。

ところで、上記の通り、憲法改正の発議は、各議院の「総議員」の3分の2以上の賛成が必要であり、「出席議員」の3分の2以上ではありません。

法律の場合には、各議院の「出席議員」の過半数の賛成があれば成立しますから、そこからすると、憲法改正にはかなり高いハードルがあることがわかると思います。

このように日本の憲法は、憲法改正をさせにくくしている(硬い)憲法だということで「硬性憲法」と言われることがあります(逆に手続き上も憲法改正を行いやすく、頻繁に憲法が改正されるものもありますが、このような憲法は「軟性憲法」と言われています)。

そして比較的多数の政党が主張しているのは、憲法改正の発議要件である「3分の2以上」の衆参両議院の賛成を「過半数」に改正しようというものです。

ちなみに上記で説明した「総議員」を「出席議員」に改正しようという意見は、私の知る限り聞かれません。「3分の2以上」を「過半数」に変えようと主張する政党も、おそらく「総議員」の「過半数」と主張しているものと思われます。

憲法改正へのファーストステップである96条の改正がなされるかどうかは、次の参議院議員選挙における私たちの選択にかかっているといっても過言ではありません。

よく考えて投票したいものですね。

ところで、この憲法改正に「限界」はあるのでしょうか。

具体的には、先にあげた96条について、国会による憲法改正の発議要件を変更するだけでなく、そもそも「国民投票」自体を廃止するような改正はできるのでしょうか。

また日本国憲法は「国民主権」や「基本的人権の尊重」を謳っていますが、このようないわば憲法の基本原則とでもいうべきものも、96条の手続きを経さえすれば変えることができるのでしょうか。

この点については、憲法の改正に限界はないという考え方も一部にはありますが、多くの憲法学者は、憲法の改正に限界があると考えています。

たしかに、民主主義を宣言する憲法が、国民投票によって、民主主義を否定し、例えば中国のように一党独裁制をするというのは、いわば自殺行為であり、このようなことを憲法自身が認めているというのは考えにくいと思います。

そして、憲法改正に限界があると考える立場からは、憲法改正の手続きである「国民投票」を、憲法を改正して廃止することはできないと考えます(国民の代表である国会議員で憲法改正を行っても、民主主義の原則に反しないのではないか、とも思われますが、憲法を改正するかは最終的には「国民自身」が決めるのであり、「国民投票」は非常に重要なプロセスなのだということなのでしょう。この点は「憲法制定権力」という難しい議論がありますが、ここでは割愛します)。

また、「表現の自由」「思想良心の自由」「信教の自由」「法の下の平等」などの「基本的人権」についても、そもそも「人は生まれながらにして自由であり、平等である」という考え方(「自然権の思想」といいます)から、「個人の尊厳」、そして「国民主権」という考えに結びついたという関係にあることから、「国民主権」の大元である「基本的人権」は、憲法改正によっても否定されないと、ほとんどの憲法学者は考えます。

このように、国民投票で過半数の賛成を得たといっても、何でもかんでも改正できるわけではなく、「国民主権」「基本的人権の尊重」等、いわば憲法における「根本規範」のようなものは変更できないということなのです。

憲法改正については、次の選挙の争点にもなるようですし、なんといってもこの日本国の最もベーシックな法律なのですから、本を読んでみるなりして、皆さんなりに一度勉強してみてはいかがでしょうか。

今回のブログがその一助になれば幸いです。

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