社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

あの裁判のその後 その2

2013年4月22日

今回は、以前紹介した裁判のその後について、語っていきます。

昨年8月のブログで、グリーとディー・エヌ・エー等間との携帯電話用釣りゲームをめぐる裁判について紹介しました。

この裁判は、ディー・エヌ・エーらが配信している釣りゲームが、グリーが配信している釣りゲームに係る著作権を侵害しているとして、グリーがディー・エヌ・エーらに対し、釣りゲームの配信行為の差止や損害賠償等を求めたものでした。

第1審の東京地裁では、グリー側の主張が一部認められ、ディー・エヌ・エーの釣りゲームの配信停止と約2億円もの損害賠償がディー・エヌ・エーらに命じられましたが、第2審の知財高裁で、今度は逆にディー・エヌ・エーら側が勝訴し、グリーの請求は全て退けられました。

そこでグリーは、この知財高裁の判決を不服として、最高裁に上告等をしていました。

これに対する最高裁の判断が先日出され、結果は、グリーの上告を退ける内容の決定が出されました。

これにてグリーの敗訴、及びディー・エヌ・エーら側の勝訴が確定することとなります。

ここで、第2審の知財高裁がどのような判断をしたのか、おさらいしますと、

本件で著作権侵害が認められるためには、
①ディー・エヌ・エーゲームに接する者が、既存の著作物であるグリーゲームの表現上の本質的な特徴を直接感得することができること、
②表現の部分や表現上の「創作性」が認められる部分について、ディー・エヌ・エーゲームがグリーゲームと同一性を有すること(逆に、表現それ自体でない部分(思想、感情、アイデア等)や表現上の「創作性」がない部分について同一性を有していたとしてもそれは著作権侵害とはならない)、
が必要であるところ、

グリーゲームやディー・エヌ・エーゲームにおける画面や画面構成、画面の変遷(移り変わり)は、携帯電話用釣りゲームにおいては、いわば「ありふれた表現方法」にすぎず、ディー・エヌ・エーゲームに接する者がグリーゲームの表現上の本質的な特徴を直接感得することはできないとして、上記①の要件を否定しました。

また、ディー・エヌ・エーゲームのうち著作権侵害とされる「魚の引き寄せ画面」は、アイデアなど表現それ自体ではない部分、又は表現上の「創作性」がない部分においてグリーゲームと同一性を有するにすぎないとして、②の要件も否定しました。

今回出された最高裁の決定は、この知財高裁の判断を妥当と判断したのです。

そして、昨年12月に紹介した、「自炊代行業者」7社に対する作家や漫画家らが提訴した裁判ですが、これについても進展があり、7社のうち1社は、原告である作家らの主張を認め、自炊代行行為を中止した上で謝罪し、賠償金の支払いも行うと表明し、その他の2社も既に原告の主張を認めたため、この2社に対する裁判は終了しているようです(残り4社は引き続き争う姿勢のようです)。

なお、この裁判とは別の動きとして、自炊代行業に対するルール作りのために、作家や漫画家の団体で構成された「蔵書電子化事業連絡協議会」が、本年3月、設立されたそうです。

この団体がどのような活動を今後行っていくのかは未定ですが、現時点では、①蔵書電子化についてルールを策定し、②これに従う事業者に対して電子化の許諾を与える取り組み等を検討しているそうです。

自炊代行の問題は、タブレット端末等を用いて手軽に書籍を楽しみたいという読者のニーズとそのニーズを捉えビジネスチャンスを掴みたい業者側、そして著作権者である作家側等様々な人の利害が絡む問題ですので、裁判のみでは全面的な解決は難しいです。

そう言った意味で、上記協議会がどのような活動を行い、この「自炊代行」の問題をどのように解決していくのか、注目していきたいと思います。

今後も、このブログで紹介した様々な裁判について、その後の動きを随時紹介していければと思います。

[カテゴリー:]

< 弾劾裁判とは? 記事一覧 憲法改正 >

y[Wgbv