社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

弾劾裁判とは?

2013年4月16日

今回は、裁判官に対する弾劾裁判について語っていきます。

先日、女性の下着を録画機能付携帯電話で盗撮した裁判官が、「弾劾裁判」により罷免されたことが報道されました。

そもそも皆さん。この「弾劾裁判」という言葉をご存知でしょうか。

「裁判」なのだから、「裁判所」による裁判の1種と思われたのではないでしょうか。

実は、この「弾劾裁判」。なんと国会議員(衆議院議員、参議院議員)による行われるのです。

日本国憲法第64条第1項は以下のように定めています。

「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。」

まず、言葉の説明をしますと、「罷免」とは、簡単に言えば、「裁判官の身分をその意思に反して失わせること」と理解してもらえばよいです。

そして「訴追」とは、「罷免事由のある裁判官に対し、罷免をするよう求めること」を意味し、刑事裁判でいうところの「検察官による起訴」に相当します。

この「訴追」を行うのも、国会議員で構成される「訴追委員会」です。

つまりこの「弾劾裁判」という制度は、国会議員による「訴追委員会」により「訴追」された裁判官を、国会議員により構成される「弾劾裁判所」により「クビ」にする制度なのです。

それではなぜ、このような制度が設けられたのでしょうか。

これは一般に、憲法第15条第1項を受けたものだと言われています。同条同項は以下のように定めています。

「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」

つまり同条項は、裁判官を含めた公務員をクビにすることは「国民固有の権利」と定めているのです。

そして国会議員は、我々国民が選挙により選んだ国民の代表であるということで、憲法は国会に弾劾裁判所を設置し、同裁判所により裁判官を罷免することを求めているのです。

そして、この「弾劾裁判」には不服申し立ての制度はなく、一度「罷免」の判決を受けるとこれを覆すことはできません。また、この裁判の審理と判決は、一般に公開されることになっています。

しかも「弾劾裁判所」により「罷免」の判決を受ければ、弁護士にも検察官にもなることはできません。

このように裁判官にとっては、「弾劾裁判」という制度は非常に厳しい制度です。しかしながら、その分、裁判官は、他の国家公務員と比べて手厚い身分保障を憲法上受けています。

具体的には、裁判官は心身の故障のため職務執行ができないと裁判で認められた場合や今回紹介した弾劾裁判によらなければ、罷免されることはなく、報酬についても、「在任中は減額されることはない」と憲法で書かれているのです(国会議員や日本のトップである内閣総理大臣でもそのような憲法の規定はありません)。

このように手厚い身分保障を受けているからこそ、逆に非行があった場合には、「弾劾裁判」により、いわば厳しく「罰せられる」のです。

ところで、この「弾劾」の意味ですが、裁判官弾劾裁判所のホームページ(HPがあるのですね。驚きです)には、以下のように説明されています。

「『弾劾』には、罪や不正を暴くとか、厳しく責任を問うといった意味があります。このことから、大統領や大臣あるいは裁判官など、強い身分保障を受けた公務員が非行(その人の地位にふさわしくない行為 )を犯した場合に、国民(実際には、国民の代表者で構成される議会など)の意思によってその者を罷免する(辞めさせる )制度のことを一般に「弾劾制度」と呼んでいます。」

なお、これはあまり知られていないと思うのですが、「罷免」の判決を受けた裁判官でも、その判決の日から5年が経過し、罷免を受けた裁判官本人の請求があった場合には、弾劾裁判所による「資格回復の裁判」が行われ、同裁判所が資格を回復してもよいと判断した場合には、その裁判官の資格が回復され、再び裁判官として職務を行うことができるとされています(今回報道された裁判官を含めこれまで7人が罷免されましたが、そのうち3人は資格を回復したそうです)。

最後に、この「弾劾裁判所」の場所ですが、国会議事堂近くの「参議院第二別館」内にあるそうです(最高裁判所やどこかの地方裁判所や高等裁判所内にはなく、場所的にも裁判所から独立しているのですね。今回のブログを書くまで私自身知りませんでした)。

見学もできるそうですので、興味のある方は、一度見学に行かれてはいかがでしょうか。

詳しくは裁判官弾劾裁判所のホームページ(http://www.dangai.go.jp/info/info3.html)まで。

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