社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

新型インフルエンザ等対策特措法施行

2013年4月 9日

今回は、まもなく施行される新型インフルエンザ等対策特別措置法について語っていきます。

現在、中国においてH7N9型の鳥インフルエンザが発生し、死者も出ているとの報道がなされていることは皆さんご承知のとおりだと思いますし、当社ホームページにおいてもお知らせしているところです。

このような新型のインフルエンザ等が日本国内で発生した場合に備え、昨年4月、新型インフルエンザ等対策特別措置法が制定され、同年5月公布されました。

そして予定では、公布から1年後の本年5月上旬に施行される予定でしたが、報道によると、冒頭で述べた中国における鳥インフルエンザ発生を受け、日本政府は同法の施行を4月下旬に前倒しで施行するよう準備を進めているようです。

ところでこの法律の制定経緯ですが、日本政府では、当初より(強毒性の)新型インフルエンザを想定した行動計画を策定していました。

しかしながら、平成21年4月に発生した豚由来の新型インフルエンザでの対応の経験を踏まえ、平成23年9月に上記行動計画を改定し、さらにこの行動計画の実効性を高めるには、各種対策の法的根拠の明確化が必要との意見も相次いでいたことから、昨年3月、日本政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法案に対する閣議決定を行い、その後、国会に提出され、同年4月、成立に至ったものです。

この法律は、新型インフルエンザ及び全国的かつ急速に蔓延する恐れのある新感染症に対する対策の強化を図り、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的に制定されました。

そして、この法律の内容ですが、まず平時の対応として、政府は政府行動計画を、都道府県は政府行動計画に基づいた都道府県行動計画を、そして市町村は都道府県行動計画に基づいた市町村行動計画を作成するよう義務付けています。

また、国や地方公共団体に対し、新型インフルエンザ等に備え、新型インフルエンザ等対策の実施に必要な医薬品その他の物資及び資材を備蓄するよう求めています。

そして、当社のような事業者や私たち国民に対しても、新型インフルエンザ等の予防に努めるとともに、国や地方公共団体が進める新型インフルエンザ等の対策に協力するよう努めることを求めています。

そして新型インフルエンザ等が発生した場合には、政府に対策本部が設置されますが、この場合、対策本部長である内閣総理大臣は、厚生労働大臣に対し、医療関係者やインフルエンザ対策に従事する公務員等に対する臨時の予防接種の実施を指示することができ、また海外において新型インフルエンザが発生した場合において、新型インフルエンザの国内侵入を防止できないおそれがあるときは、海外からの船舶や航空機の来航を制限するよう要請することができます。

上記対応でも新型インフルエンザの侵入を防ぐことができず、国内で新型インフルエンザが全国的かつ急速に蔓延する事態となった場合には、内閣総理大臣は「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」を発します。

この場合の措置として、都道府県知事は、3つの措置(①蔓延防止措置、②医療の提供体制確保に関する措置、③国民生活及び国民経済の安定に関する措置)を実施することができます。以下、重要と思われるものを紹介します。

まず、①蔓延防止措置として、都道府県知事は、住民に対する外出自粛要請や、イベント主催者等に対しイベント等の制限等の要請をすることができます。

そして、②医療の提供体制確保に関する措置として、都道府県知事は、臨時の医療施設を開設し、そこでの医療の提供を義務付けられるとともに、また都道府県知事は、臨時の医療施設を開設するため、土地等の所有者が、正当な理由なく都道府県知事による使用に同意しない場合には、土地等の所有者の同意を得ることなく、これらを使用することができます。

最後に、③国民生活及び国民経済の安定に関する措置として、都道府県知事は、新型インフルエンザに対する緊急事態措置の実施に必要な物資(医薬品、食品等)を生産者や販売者に対し、売り渡すよう要請することができ、生産者等が正当な理由なくこれに応じない場合には、都道府県知事はこれら物資を強制的に取得することもできます。

以上のとおり、緊急事態宣言が出された場合の措置の中には、国民の権利に重大な制限が及ぼすものもありますので(特に②、③)、この法律は、仮に国民の権利に制限を課す場合があっても、それは必要最小限にするよう、行政機関の行為に歯止めをかけています。

概要は以上になりますが、新型インフルエンザ等が発生した場合の各種措置に対する法的根拠を明確にするという趣旨のもと、かなり詳細に政府や都道府県知事が実施できる事項について定められているように思います。

ただ、この法律はできたばかりの法律ですし、この法律が有事の際、どの程度機能するかは、実際にその時にならないとわかりません。

やはり私たち国民としては、この法律の内容を知ることはもちろん重要ですが、自分で情報収集をし、新型インフルエンザの発生に備え、インフルエンザ対策のための物品(その中には当社製品「クレベリン」も含まれます!)や食料を自ら備蓄しつつ、新型インフルエンザ等が発生した際のご家庭内における行動計画を予め考えておくことが重要だと思います。

仕事をするにも、勉強するにも、裁判するにも、当然ですが、体が資本です。

法律や政府等人任せにはせず、自分の身は自分で守ることを基本として対応にあたっていきたいですね。

ともかくも、中国における鳥インフルエンザについては、今後も動向が気になるところですし、発生源が日本に近いだけに、どこまで拡大していくか、注視しておく必要がありそうです。

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