社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

弁護士の不祥事と適性

2013年3月26日

今回は、弁護士の不祥事と、適性について語っていきます。

前回のブログでは、選挙権のない成年被後見人のために訴訟を提起し、勝訴判決を勝ち取られた弁護士の話をしました。

今回はそれとは全く逆で、いわば依頼者を食い物にする弁護士の話です。

昨日の新聞に、ある弁護士が、民事訴訟の賠償金を着服する手口で、22件、被害総額にして合計9億円の横領事件を起こしていたことが報道されました。

報道によれば、この弁護士は、2006年頃から、損害賠償事件の賠償金が自己の預かり金口座に入金されると、依頼者に「裁判は続いている」などと嘘の説明をして、結局、依頼者にお金を渡さず、そのまま入金された賠償金を着服していたとのことです。

ところで、上記の説明で「自己(弁護士)の預り金口座に入金」とありますが、これ自体はよくあることで、一旦、代理人である弁護士の口座に賠償金が入金された後、あらかじめ契約等で決まった弁護士の報酬額を差し引き、差し引いた後の金額が、弁護士から依頼者に支払われるというのが、民事裁判で勝訴した場合の通常の流れです。

中には、この弁護士が、ある民事訴訟の代理人を務めた際、1審で勝訴したにもかかわらず依頼者に無断で2審に控訴。2審での和解により上積みされた賠償金約1,200万円を着服したケースもあったようです。

この弁護士は、私よりも年齢、弁護士歴共に相当上のベテラン弁護士ですが、依頼者の利益を全く無視した上記行為は許し難く、弁護士の恥であると思います!!

なお、依頼者から着服した約9億円もの金銭を一体何に使ったのか、まだ明らかにはなっていないようです。

この弁護士だけでなく、近年は弁護士の不祥事が相次いで起こっており、昨年だけで今回の弁護士のように業務上横領等で逮捕された弁護士は、少なくとも7人いるようです。

このほかにも、依頼者からなんと約4億円もの金銭をだまし取ったとして詐欺罪に問われ、昨年10月に懲役14年の実刑判決を受けた元弁護士もいます。
ところでなぜ、このような弁護士の不祥事が相次いで起きているのでしょうか。

この点は、私が所属している日本弁護士連合会でも分析しており、再発防止のための取り組みを行っているところではありますが、1つには、弁護士の大量増員による各弁護士の仕事の減少、それに伴う収入の減少が背景にあると思います。

収入は多いものの、ギャンブル好きでお金がなくなったというケースもあるとは思いますが、弁護士が増えて競争が激しくなり、以前よりも仕事が減って収入も減ったために、依頼者のお金に手をつけてしまった、というのが分かりやすい構図であると思います。

ただ今回取り上げた弁護士については、9億円ものお金もなぜ必要だったのか、仕事の減少による収入減だけでは説明がつきませんが、この点は、捜査が進むにつれて徐々に明らかになってくると思います。

ところで、このような弁護士の不祥事を目にするたびに、私は、弁護士にとって必要な適性とは何なのだろうと考えてしまいます。

交渉力や文章作成能力、論理的思考力が必要であることは論をまたないと思います。

そして、この他に、私の個人的な見解ではありますが、職業意識に根ざした「高い倫理感」を持っているかどうかも弁護士の適性として非常に重要であると考えています。

先程、弁護士の不祥事は仕事の減少による収入源が背景にあると述べましたが、全ての弁護士が生活に苦しいからといって依頼者の金銭に手をつけることはありません。

財政的には苦しいながらも懸命に活動されている弁護士はたくさんいます。

では、不祥事を起こす弁護士と起こさない弁護士とを分けるものは何か。

私は、それはその人が弁護士として矜持を持ち、それに裏打ちされた「高い倫理感」を持っているかどうかだと考えます。

これがないと、いくら弁護士として有能であったとしても、いつかは身を滅ぼすことになりますし、多くの依頼者に迷惑をかけることになるのではないでしょうか。

とにもかくにも、今回紹介した弁護士が存在することは、同じ弁護士として恥ずかしいですし、私自身も襟を正し、高い倫理感を持って仕事にあたっていきたいと思います。

皆さんも今回紹介したような弁護士の被害に遭わないよう、ご自分が依頼した弁護士の仕事ぶりはチェックしておくべきと思います(事件の進捗状況について、マメに質問してみるというのも効果的です)。

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