社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

白い恋人VS面白い恋人事件 和解解決

2013年2月19日

今回は、先日和解により解決した「白い恋人VS面白い恋人」事件について語っていきます。

「白い恋人」を製造販売している石屋製菓が、「面白い恋人」を製造販売している吉本興業らを相手に「面白い恋人」の製造販売中止等を求めて提訴したことは、このブログでも何度も、紹介しました。

この裁判は、平成23年11月に提訴されから1年3か月が経とうとしていますが、本年2月13日、和解により終結しました。

和解の内容は、皆さんも報道を通じご存知のこととは思いますが、主な内容は以下の通りです。

1)吉本興業らは、本年4月1日を目処に、「面白い恋人」のパッケージデザインについて「白い恋人」と誤認混同の恐れがない内容に変更する。
2)吉本興業らは、「面白い恋人」の販売地域を、近畿6府県(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県及び和歌山県)に限定する。 但し、北海道及び青森県を除く地域において、年間36回を上限とした期間1か月以内の催事での販売は例外とする。

なお、報道によれば、商品名の「面白い恋人」はそのまま使用してよい、本和解に伴う吉本興業らから石屋製菓への金銭支払いはない、とのことです。

この和解について、原告の石屋製菓は、「面白い恋人」の販売地域が実質的に関西に限定され、またパッケージを変更することにより誤認混同のおそれもなくなったとして、本訴訟の目的は達せられたと説明し、吉本興業側は、お互いに納得のいく和解ができたことを非常に喜ばしく思っているとコメントしています。

しかしながら、個人的には、「面白い恋人」の継続使用を認めたことや吉本興業らからの金銭支払いがない点、そして販売地域についても関西限定とはいうものの、一定の例外があること等から、石屋製菓側が相当譲歩した内容になっている印象を受けました。

この裁判を提訴した際、石屋製菓側は当初、パッケージの類似性だけでなく、「白い恋人」と「面白い恋人」の商品名の類似性も主張していたと思いますので、「面白い恋人」という商品名の使用を認めることには、相当の逡巡があったものと推測されます。

にもかかわらず、このような和解に至った背景には、「セイロガン糖衣A」事件の1審において和解協議をした経験からいえば、裁判所から石屋製菓側に和解に向けた相当なプッシュがあったものと思われます。

裁判所は、審理が進み、当事者間の主張や証拠がある程度出揃った時点で、和解を勧告するのが通例です。

なぜなら、判決は手間と労力がかかりますし、判決を出しても敗訴当事者はそれに納得せず、控訴等を行いますので、紛争解決が長引きます。また仮に判決が確定しても、敗訴側は判決に納得せず損害賠償の支払い等を拒否することもありますので、終局的な紛争解決にならない可能性があります。

他方、和解による解決は、一応双方納得した上で和解をしますから、金銭支払いやパッケージ変更などの義務を課された当事者もそれを素直に履行する可能性が高く、また控訴等がなされることもないため、終局的かつ迅速な紛争解決が図れることになるからです。

このような理由等から裁判所は、和解勧告後、その時点の心証(裁判の結論についてどのように考えているか)を開示することで、原告・被告双方を説得し、和解成立に向けた努力をします。

今回の「白い恋人VS面白い恋人」事件についても、裁判所は心証を開示した上で両当事者を説得したものと思われますが、今回の和解の内容からすれば、裁判所からはおそらく原告にとって厳しい内容の心証を開示されたのではないかと思います(ただ、これはあくまで私個人の推測であり、吉本興業側に厳しい内容の心証を開示し、石屋製菓側も納得のできるパッケージデザインへの変更を余儀なくされた可能性も十分あります)。

この場合、敗訴判決が出されるのを避けるために和解を受け入れるか、和解を拒否し敗訴判決が出されたとしても控訴して再度戦うのかはその会社の経営判断です。

ただ、地裁で敗訴しても高裁でひっくり返ることはあるのですから、私個人の意見としては、仮に裁判所から厳しい内容の心証を開示されたとしても、それに納得していないのであれば、和解は拒否すべきだと考えます。

紛争は早期に解決したほうがよいに決まっていますが、どちらかが無理をしているようであれば、それは真の紛争解決にはならないのではないでしょうか。

むしろ結論はともあれ、原告・被告双方から文句のつけようのない説得的な判決が出される方が、真の紛争解決に資する場合もあるのではないでしょうか。

皆さんは今回の「白い恋人VS面白い恋人」事件の結論、どう思われたでしょうか。

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