社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

応援団の入場拒否と暴力団排除条項

2013年2月25日

今回は、暴力団と関係があったことを理由に野球場への入場を禁止された私設応援団が、プロ野球団側を相手に入場禁止の無効確認等の訴訟を提起した事件について語っていきます。

事件の概要ですが、野球場から暴力団や悪質応援団を排除するために(社)日本野球機構が策定した「試合観戦契約約款」に基づき、球団側が、暴力団との関係を隠していた、ある球団の私設応援団の主要メンバーを、チケット販売拒否対象者に指定してチケット販売そのものを拒否するとともに、別の団体についても応援団にはふさわしくないとして応援不許可としました。

これに対し、応援団側がこれらの措置を不当とし、入場禁止の無効確認と損害賠償を求めたものです。

第1審では応援の不許可については妥当としたものの、チケット販売拒否については、これを無効とし、球団側に慰謝料の支払いを命じました。

これに対し第2審では、応援不許可だけでなく、チケット販売拒否についても、「性別」や「人種」などによる不当な差別ではなく、違法とすべき事情は認められないとして、第1審の判断を覆し、応援団側の請求を全て退けました。

そして、最高裁においても、本年2月14日付けの決定で応援団側の上告を棄却し、球団側の応援不許可やチケット販売拒否行為を適法とした第2審の判断を是認しました。

またこれとは別の事件で、地方裁判所での判決ですが、この最高裁決定よりも少し前の平成23年8月31日、暴力団員であることを理由に、結婚式及び披露宴の契約を一方的に破棄したホテル側に対し、損害賠償を求めた夫婦の訴えを退ける判決を下しています(なお、この判決は相手方が控訴しなかったため、第1審で確定しています)。

ところで、当社は、東証への上場の際、暴力団等反社会的勢力との関係を遮断するための体制を構築するよう求められ、その一環として、すべての契約書に暴力団排除条項、つまり取引の相手方が暴力団等の反社会的勢力であることが判明した場合には、即時に契約を一方的に解除できる旨を定めた条項を入れています。

しかしながら、実際のところ、この条項を使用して契約解除ができるものなのか正直、疑問でした。

このような中、今回、最高裁において、暴力団排除条項の効力を広く認める方向での決定が出されたことは、反社会的勢力への対応の担当をする私たちにとって非常に勇気づけられるものであり、高く評価できると思います。

ところで、今回の最高裁決定が出された背景としては、全国の都道府県において暴力団排除条例が制定され、社会的に暴力団排除の機運が高まっていることが相当寄与していると思います。

暴力団排除条例では、不当に高く、ないしは不当に安くなくとも、それが暴力団ないし暴力団関係者であることを知って、物品等が反社会的勢力に提供された場合、物品等を提供した事業者の行為は条例の規制対象となります。

また事業者が、暴力団の威力を利用して、貸している部屋から住人を追い出すような行為も禁止されています。

それだけでなく、これは大阪府の例ですが、府民は主体的に暴力団排除に取り組むとともに、府が実施する暴力団排除のための施策に協力し、かつ暴力団排除に資すると思われる情報を府に提供するという努力義務が課せられています。

このように現在では、国や地方公共団体だけでなく、事業者、そして我々住民にも暴力団を排除する行動が求められているのです。

今回の最高裁の決定は、このような社会的機運を受けて出されたものと思われます。

今回のように、最高裁は、その時の社会情勢を反映して判決等を出す場合があります。

また逆に、最高裁判決等が出された後、社会が動くということもあります。

現在、借金をした人が、消費者金融などに対し、払いすぎた利息を返すよう求める、いわゆる「過払金返還請求」を起こすケースが増加し、それによって消費者金融が苦境に陥っていることは皆さんもご存知のことだろうと思います。

これは、払いすぎた利息は「不当利得」として消費者金融側に返還請求を求めることができることを、最高裁が認めたからこそ、起きた現象なのです。

また、このブログでも紹介した、医薬品のネット販売を規制した省令を無効とした最高裁判決についても、厚生労働省に対し、医薬品のネット販売規制について再考を迫ったという点で、最高裁判決によって社会が動かされた例に数えられると思います。

そう言った意味で、最高裁判決を見れば、社会の動きが見えたり、予測できたりする場合があります。

皆さんも、一度このような目で、最高裁判決を見ていただければ、新たな発見があるかもしれませんよ。

[カテゴリー:,]

< 白い恋人VS面白い恋人事件 和解解決 記事一覧 著作権の戦時加算とは >

y[Wgbv