社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

地方国税局による税金の還付

2013年2月12日

今回は、ある地方国税局が某メーカーに多額の税金を還付したとの記事について語っていきます。

確定申告の時期が近づいてきました。

サラリーマンの皆さんはさほど関係ないかもしれませんが、我々弁護士や自営業の方等は、この時期、確定申告に向けた資料の収集や申告作業等でお忙しい時期だと思います。

そして、当社のような企業は、法人税や消費税等を事業年度終了日(当社の場合、3月31日)から2ヶ月以内に確定申告し、納税します。

その後、不定期にその地域を管轄する税務署や国税局による税務調査が行われ、その結果、申告に不適切な点がある場合には、追徴課税(追加の税金の支払い)等の処分がなされます。

では、仮にその課税処分に不服がある場合、企業(個人も含みます)としてはどのような対応が可能なのでしょうか。

まず、その処分を行った税務署や国税局に異議申し立てを行うことができます。申し立てを受けた税務署等はもう一度その処分が正しかったか検討を行い、その結果を申立人に通知します。

そしてその決定に不服がある場合には、国税不服審判所に対し、その処分の取り消しや変更を求める「審査請求」という手続きをとることができます。

上記審査請求に対して国税不服審判所が下した決定(裁決といいます)に不服がある場合、又は審査請求後3ヶ月が経過しても裁決が出されない場合には、その採決の取り消し等を求めて今後は各地方裁判所に訴訟提起をすることができます。

以上のように、税務署等の課税処分に不服がある場合、裁判と同様、3回争うことができるのです。

しかも裁判でも高裁、最高裁と更に2回争うことができますので、なんと合計5回も、税務署等の処分が正しかったかどうかを争うことが可能なのです。

上記の通り争う機会が多いとはいえ、このような税務訴訟は、裁判の中でも特に専門性が高く、難易度が非常に高い裁判(つまり勝つことが非常に難しい)と言われています。

この理由は色々考えられますが、そもそも税法自体、種類が多く、条文も非常わかりづらいです(数ある法律の中でも最も読みづらい法律の部類に入ると思います)。

そのような中、最近の報道で、ある地方国税局が某メーカーに対し、追徴課税した約73億円のうち約14億円もの税金を還付した(納めた税金を某メーカーに返還した)とのニュースを耳にしました。

報道によれば、上記某メーカーの海外子会社との取引について、同子会社から某メーカーの受け取る代金が低すぎるとして、上記国税局が2007年までの6年間について155億円の申告漏れを2008年に指摘し、73億円もの追徴課税を行ったものですが、これに対し、某メーカーが、子会社のある国にそれぞれ適正に納税しており、日本と当該国で二重課税になるとして、異議を申し立てました。

この異議申し立てに際し、某メーカーは、このような二重課税を避けるべく、租税条約に基づき各国と協議するよう国に求めていたところ、国と一部の海外の国との間で税の配分につき協議がまとまったため、追徴課税額を減額し、この度の還付に至ったとのことです。

そもそも73億円のうちの「14億円」もの還付を国が自ら認めること自体珍しいケースだと思いますが、某メーカーからの各国との協議の要望を国が受け入れ、国が動き、そして一部の国との協議をまとめ上げたという点もかなり珍しいのではないでしょうか。

課税処分がなされた2008年から数えて約5年が経過していますが、今回の還付に至るまで某メーカーと国との間でどのようなやり取りがあったのか、是非伺いたいものです。

ちなみにこのメーカーは、2010年に行った上記国税局の別の処分を不服とし、異議申し立てを行った後、その異議申し立てが棄却されたため、国税不服審判所に審査請求を行うとともに、地方裁判所にも提訴しています(先程説明しました通り、国税不服審判所の判断を待たずとも3ヶ月以内に裁決が出なければ裁判所に提訴することができます。なお、裁判は現在も係属中のようです)。

また2012年6月になされた上記国税局の処分にも不服があるとして、異議申し立てを行っているようです。

このメーカーと国税局との諸々の紛争。一体どのように解決されるのか、一法律家として非常に興味のあるところです。

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