社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

「あずきバー」商標

2013年2月 4日

今回は、著名なアイス菓子である「あずきバー」の商標登録を認めた知財高裁の判決について語っていきます。

先日、知財高裁が、井村屋グループ(以下、井村屋といいます)が商標出願していた「あずきバー」の商標について、特許庁が下した審決を取消し、「あずきバー」の商標登録を認める判決を下しました。

(今回裁判の対象となっている商標は、標準文字の「あずきバー」であり、実際の商品に使用されているロゴ書体の「あずきバー」については、特許庁も昨年6月、商標登録を認めていました(ロゴ書体はhttp://www.imuraya.co.jp/goods/ice/index.htmlよりご確認ください)。)

まず経緯を説明しますと、平成22年7月に井村屋が本商標の出願を行ったところ、平成23年4月、特許庁より拒絶査定(簡単にいえば商標登録の要件を満たさないので、登録できない旨の連絡です)を受けたため、これを不服として、同年8月に特許庁に不服審判の請求をしたところ、翌年6月に、この請求は請求として成り立たないとの審決を受けたため、これを不服とした井村屋が、知財高裁にその審決の取り消しを求め、提訴したものです。

特許庁が井村屋の不服審判請求を退けた理由としては、大きく2つあり、

①その商品の「品質、原材料又は形状を普通に用いられる方法で表示」するにすぎないものは商標法上、商標登録ができないところ、標準文字の「あずきバー」を「あずきを原材料とする棒状のアイス菓子」に使用しても、その商品の品質、原材料又は形状を普通に用いられる方法で表示しているにすぎないから商標登録は認められない、

②仮に上記①に該当する場合であっても、その商標が「あずきを原材料とする棒状のアイス菓子」に使用された結果、消費者が井村屋の業務に係る商品であることを認識することができるに至った場合には商標登録が認められるが、本件では未だ消費者が井村屋の業務に係る商品であることを認識することができるに至っていない、
ということでした。

これに対し、知財高裁は、上記①については特許庁の認定通り、その商品の品質、原材料又は形状を普通に用いられる方法で表示しているにすぎないとしたものの、

上記②については、特許庁と反対の認定をしました。つまり、井村屋のあずきバーの販売実績(毎年1億本~2億本)、広告実績(毎年1億2,000万円以上)、そしてこれらにより得られたあずきバーの知名度から、標準文字の「あずきバー」が「あずきを原材料とする棒状のアイス菓子」に使用された結果、消費者は「あずきバー」が井村屋の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったと認定したのです。

ところで、今から2年以上前の平成22年11月、ヤクルトの容器について、これも知財高裁が特許庁の審決を取消し、ヤクルト容器の立体商標登録を認めたことは記憶に新しいことだと思います。

知財に詳しいある弁護士から、最近の裁判所は、判断に迷ったときは、権利者側に有利な判決を下す傾向にあるとの話を聞いたことがあるのですが、今回の判決やヤクルト容器に対する上記の判決を見ているとそのような話もまんざら嘘ではないような気がします。

今回の「あずきバー」の判決も、ヤクルト容器の判決も、その商品のために企業が様々な努力を払ってきたことが正当に評価された結果、通常であれば登録が難しい商標の登録が認められるようになったのだと思います。

これはつまり「正直者がバカをみない」ようになってきたことを意味し、非常に望ましい傾向であると思います。

これらの判決を追い風に、当社が進めている「セイロガン糖衣A」裁判も、権利者側に軍配が上がった裁判例の1つに数えられるべく、粉骨砕身するのみです。

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