社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

家庭裁判所裁判官の増加

2013年1月15日

今回は、「家庭裁判所裁判官が増加する」と報じたある新聞記事について語っていきます。

先日のある新聞に、最高裁判所が本年4月から家庭裁判所の裁判官の数を20人から30人規模で増やす方針であることが報じられていました。

この家庭裁判所ですが、各都道府県に設置されている地方裁判所とは別に設置されている裁判所(ただ物理的な場所は地方裁判所内にあることが多いと思います)で、主に「家事事件」と「少年事件」を担当し、全国に50箇所あります。

「家事事件」とは、離婚事件や離婚後の子に対する親権や養育費等に関する争い、遺産相続、正常な判断が困難な人のために財産を管理する後見人を選任する等の事件を意味します。

他方、「少年事件」とは、主に、犯罪行為を行った14歳以上20才未満の少年に対する事件等を意味します(その他14歳未満の少年に対する事件を取り扱う場合もありますが、これについては、今回のテーマから外れますので、割愛します)。

今回、最高裁判所が家庭裁判所の裁判官を増やす方針を示したのは、上記事件のうち「家事事件」が急増したことが背景の1つにあるようです。

この「家事事件」の急増については、離婚事件等夫婦間の紛争の増加もありますが、高齢化社会を反映してか後見人の選任事案等の件数が10年前より約9倍に増加している(件数にして1年間で約11万件)ことが大きいようです。

これに加え、家庭裁判所裁判官により選任された後見人(弁護士が選任されることが多いです)が、その管理している財産を着服する事件が多発し、挙げ句の果てには、後見人による資産着服に関し、その監督者である家庭裁判所の監督が不十分であったとして、国に約200万円の損害賠償が認められたことも、家庭裁判所裁判官増加の方針を示した背景であるようです。

ところで現在の家庭裁判所の裁判官は全国で約600人。この人員で、離婚事件等の夫婦間の紛争約77万件、後見人の選任等の事案約11万件(いずれも2011年のデータ)を処理しているそうです(これとは別に少年事件もあります)。

この事件数では、20人から30人増やしたとしても根本的な解決にはならないと思います。

やはり根本的な解決は「裁判官の数を大幅に増やすこと」に尽きてくると思います。

司法制度改革で司法試験合格者が以前より大幅増加し、そのために弁護士が就職難に陥っていることは報道等でみなさんもご存知だと思います。

これは司法試験合格者が増えたものの、裁判官、検察官の採用数はさほど増えていないため、その分弁護士志願者が増え、そのために法律事務所の採用枠が少なくなったことがその一因であろうと思います。

裁判官、検察官の採用枠がさほど増えていないのは、国家予算の問題が大きいとは思いますが、裁判官にとっては、事件数を意図的に制限することはできない以上、裁判官が1件1件を丁寧に裁判することができる体制を整えることは非常に重要な国家的課題だと思います。

立法(国会)、行政(内閣)、司法(裁判所)の三権を比較すると、どうしても立法、行政に光が当たりやすく、司法はどちらかといえばマイナーな世界であると思います。

しかしながら、前回紹介した最高裁判所裁判官の数の問題も含めて、司法も課題が山積みですし、多くの事件に忙殺されている裁判官が過労等により十分な裁判ができないようでは、納得できる判決や事件の解決が出来るわけもなく、それはひいては裁判を利用する企業や国民にとって非常にマイナスです。

デフレ脱却、税と社会保障の問題、原発問題等国家的な課題は多数ありますが、今回取り上げた司法の問題も是非本腰を入れて対応していただきたいと思います。

(1月11日、医薬品ネット規制に関する裁判の最高裁判決が出されました。結果は、前回のブログで触れたように、国の上告が棄却され、医薬品ネット販売を規制する厚生労働省令は無効とされました。この判決については、また別の機会に触れたいと思います。)

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