社内弁護士森田の訴訟奮戦記blog

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

比較広告

2012年11月26日

今回は、商品や製品、サービスなどの、いわゆる比較広告について語っていきます。

先日、家電量販店大手のヤマダ電機が、同じく家電大手のケーズホールディングスに対し、営業妨害を理由に、約5,500万円の損害賠償を求め、東京地方裁判所に提訴したことが報道されました。

同報道によれば、ヤマダ電機は、アフターサービスの満足度に関するアンケート調査の結果(ケーズデンキ:1位、ヤマダ電機:14社中最下位)が掲載された、ある経済誌の記事のコピーを、ケーズホールディングスが、記事掲載月の翌月から1年間、ケーズデンキを訪れた客に配布した行為を捉え、これは「ヤマダ電機のサービスが著しく劣っていることを消費者に誤認させるものとして違法」と主張しているようです。

これに対し、ケーズホールディングスは、「記事コピーの配布は問題ない」と主張し、ヤマダ電機の主張を全面的に争うようです。

ところで、様々な業界において、自社製品やサービスの優位性をアピールするために、価格や品質等について、競業他社との比較をする広告がなされることがあります。

この広告がなされれば、その製品やサービスの提供を受けようと考えている消費者は、購入の際の判断材料として非常に役に立つだろうと思います。

しかしながら現実には、CMを見ても、露骨に相手方の会社名を明示して比較する場合は少ないのではないでしょうか(例えば携帯電話やペットボトルのお茶でも、「A社」、「B社」等と表示し、会社名は出していないと思います(ただイニシャル等でどの会社か薄々見当が付く場合もありますが))。

また「正露丸」や「セイロガン糖衣A」のようないわゆる医薬品では、比較広告は全くされていないと思います。

これはなぜなのでしょうか。

まず、携帯電話やお茶等についての比較広告ですが、相手会社名を明示すれば、今回のヤマダ電機のように、「営業妨害」「他社誹謗」にあたるとして、相手会社から裁判を起こされる可能性があるからだと思われます。

また、製品や商品、サービスの表示のルールについて定めている景品表示法が、比較広告を厳しく制限していることもその一つの要因だと思います。

つまり、景品表示法は比較広告自体を禁止しているわけではないのですが、その広告がいわゆる「不当表示」として違法とならない要件として、以下の3要件を課しています。

①比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
②実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③比較の方法が公正であること

「なんだ、これさえクリアすればよいのか」とお思いになる方もいると思いますが、広告を実施する側からすれば、「客観的に実証」するとは何をどのように、どこまで実証するのか、「比較の方法が公正であること」とはどういうことなのか、結構悩みますし、15秒のCMの中で、消費者に分かるように「数値や事実を正確かつ適正に引用する」ことは実際難しいのです。

そして医薬品についてですが、これは薬事法、及びそれを受けた「医薬品等適正広告基準」という行政側の運用基準、そして業界のガイドラインにより、競業他社との比較広告が禁止されていることによります(医薬品において比較広告ができるのは、「自社製品の範囲内」で「対象製品の名称を明示して行う」場合のみとされています)。

よって、医薬品では比較広告は全くないのです(あるとすればそれは薬事法に抵触するおそれがあるものとして取締の対象になります)。

医薬品の広告についてこのような厳しい規制がなされるのは、人体に直接作用し、影響を与えるという「医薬品」の特質によるものだといわれています。

以上のように、消費者にとってはあってほしい比較広告も、広告を実施する側からは容易にはできない状況があるのです。

とはいえ、私個人の見解ですが、医薬品に関する規制も含め、そもそも現状の比較広告に関するルールは厳しすぎるのではないかと思います。

比較広告自体は何も悪いことはありませんし、消費者に選択肢を与えるという意味で、むしろ有益なのですから、「消費者に誤認を与えない」という大原則は守るのであれば、もう少し規制を緩和してもよいように思います(私個人の意見です)

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