社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

切り餅特許裁判 被告会社社長インタビュー

2012年5月14日

今回は、以前紹介した切り餅特許裁判の被告会社の社長のインタビュー記事が雑誌に掲載されていましたので、その内容を紹介するとともに、この記事を読んで私が思ったことや感じたことを述べていきます。

越後製菓と佐藤食品工業との切り餅特許裁判については、以前のブログでも触れましたが、今月7日発行の「日経ビジネス」に、被告である佐藤食品工業の社長のインタビューが掲載されていました。


この事件は佐藤食品工業製造の切り餅が越後製菓の特許を侵害したとして、越後製菓が佐藤食品工業を相手に訴訟を提起したもので、1審では越後製菓の請求が棄却され、佐藤食品工業は勝訴しましたが、2審では逆に越後製菓の請求が認められ、佐藤食品工業が敗訴しました。


その後、佐藤食品工業が上告したため、現在、戦いの舞台は最高裁に移っています。


このように判決が確定していない段階での社長インタビューだったわけですが、同業他社に対する知財の裁判を担当している私にとっても大変興味深い内容でした。


そこでは判決時の報道発表等では分からなかった裁判の内情が赤裸々に語られています。


具体的には、この事件は知財高裁において判決前に「佐藤食品工業の切り餅が越後製菓の特許を侵害している」との内容の中間判決が出されたわけですが、これが佐藤食品工業にとっては「寝耳に水」の話であったこと、そのため中間判決後になってはじめて事態の深刻さに気づき、担当弁護士を交代させ、追加の証拠収集を行ったこと、しかしながらその追加の証拠は、時機に遅れて提出された証拠であり、訴訟の完結を遅延させるとして一切採用されなかったことが社長自らの言葉として語られていました。


また今回の敗訴判決まで会社として特許に対する危機感が全くなく、今回の件で会社として知財の重要性に目覚めさせられたことも社長自身率直に認めていらっしゃいます。


私としては、佐藤食品工業が上場会社であることもあり、今回の内容は正直驚きを隠しきれないものでした。


それにしても、先にも述べたように、この事件はまだ決着が付いていません。
にもかかわらず、社長自らがインタビューに応じられ、このように体制面の不備も含めて率直に自分の考えを述べられるというのはかなり珍しいのではないでしょうか。


これは私の推測ですが、佐藤食品工業がこのインタビューをあえて受けられたのは、自社の主張の正当性だけでなく、高裁裁判官の裁判の進め方に相当不満があり、それを多くの人、特に企業関係者に知ってほしいとの思いがあったからではないかと思います。


それはインタビューの中で、社長が高裁の裁判長の裁判の進め方に疑問を呈する内容があり、またこれを読む私のような読者も、高裁の裁判官が佐藤食品工業側にとって相当不利な訴訟指揮をとっているかのような印象を持ってしまうからです。


真意はともあれ、このインタビューのおかげで、当事者でなければ知ることのできないこの切り餅特許裁判の内情や現実を知ることができました。


今回のインタビューを受けることを決め、かつ赤裸々に裁判の内情を話してくださった佐藤食品工業の対応に感謝の意を表する一方、このインタビューで書かれた内容を「他山の石」として、当社が提起している訴訟の対応にも役立ていこうと思います。

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