社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

元監査役による損害賠償請求事件

2012年5月 7日

今回は、元監査役が、自分が監査役をしていた会社に対し、名誉毀損に基づく損害賠償請求を行ったという珍しい事件について語っていきたいと思います。

この事件の概要ですが、会社のリリース資料等によれば、まずこの元監査役は、会社のある案件について取締役の善管注意義務違反、忠実義務違反という重大な任務懈怠があったこと、および会社のリスク管理体制、与信管理体制に不備があり早急な対応が求められるとの意見表明を、この会社の定時株主総会の招集通知において行いました。
 

これに対し会社は、善管注意義務違反および忠実義務違反という任務懈怠はなかったという会社およびこの会社の顧問弁護士の意見を公表しました。

 
この意見公表を受け、元監査役は公表内容が事実と異なっていることや意見公表の手法(会社の意見だけでなく、会社と同意見の「会社の顧問弁護士」の意見もあわせて公表したというやり方)が元監査役の信用失墜の被害をより深刻にしたとして、会社に対し意見の修正を要求したところ、会社がこれに応じなかったことから、この会社の対応を不服として訴訟提起に至ったそうです。


そして、この裁判の第一審判決が先月出され、原告である元監査役の全面敗訴という結果でした(なおこの元監査役が控訴をするのかどうかについては不明です)。

 
この判決を受け、会社側は、「今後も根拠のない理不尽な申し出には毅然とした対応をしていく所存です」とのコメントを出しています。


さてこの事件。これまでの経緯を見る限り相当こじれているように思えますが、もう少しスマートな解決方法はなかったのでしょうか。


また元監査役の意見表明に対し、会社だけでなく、その顧問弁護士の意見まで公表する必要があったのでしょうか。


さらに会社側と元監査役とで事前に意見のすり合わせをすることはできなかったのでしょうか。


何も事情を知らない部外者から見れば疑問が残るところです。


仮に今後、元監査役が控訴、そして上告をして会社側がその全てに勝訴したとしても、会社のイメージダウンは避けられないと思います。


この事案も、以前このブログでお話した手段の相当性、つまり自分が立てた目的目標を達成するための手段、そしてその手段のやり方や進め方が本当に適切妥当なのかを十分検討する必要があることを考えさせられる事案だと思いました。


また「真に実効性のある内部統制とは?」について色々考えさせられる事案だとも感じました。


ともあれ、この裁判も今後の動きを注視していきたいと思います。

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