社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

医薬品ネット販売規制事件

2012年5月 1日

今回は、先日、薬事法を受けた厚生労働省令に基づく医薬品のネット販売規制について、原告側に逆転勝訴判決を出した事件について語っていきます。

皆さん、「正露丸」や「セイロガン糖衣A」などの医薬品は今、ネット販売ができないことについてご存知でしょうか。

これは医薬品を規制する法律である薬事法が改正され、それにより医薬品が第1類から第3類までの3つに分けられ、副作用のリスクの高いとされる「第1類医薬品」と「第2類医薬品」は薬剤師等による対面販売が原則とされたことから、この薬事法改正を受けた厚生労働省令がネットによる「第1類医薬品」と「第2類医薬品」の販売を一律禁止したことによるものです(なお、「正露丸」や「セイロガン糖衣A」は「第2類医薬品」に分類されています)。

このネット販売を一律禁止にした厚生労働省令が法に違反しているとして、医薬品のネット販売をしていた会社が、医薬品のネット販売をする権利の確認等を求めて訴訟を提起したのが今回の事件です。

これに対し、第1審では原告が敗訴しましたが、第2審では原告の請求を一部認め、原告に医薬品のネット販売をする権利があることを認めました。

この裁判、何が争点であったかを非常に分かりやすく説明します。

まず国の最高法規である日本国憲法には、国民の権利を制限したり、義務を課したりする場合には、国民による選挙で選ばれた国会議員により構成された国会による法律によらなければならないという大原則があります(憲法41条)。

ただ、法律によりすべてを定めることは技術的にも難しいため、法律による具体的な委任があれば、その範囲内で政令(内閣で定めるルール)や省令(各省大臣により発せられるルール)によっても、国民の権利を制限し、義務を課すことができます。

(逆にいえば法律による委任の範囲を超えた場合、それは法律によらなければ国民の権利を制限できないという上記大原則に違反することになります)。

本件で問題となったのは、医薬品のネット販売を禁止した厚生労働省令が、国会が定めた薬事法による委任の範囲を超えており、憲法の上記大原則に違反しているのではないか、という点です。

この点、第2審の高裁判決では、医薬品のネット販売を禁止した厚生労働省令が、国会が定めた薬事法による委任の範囲を超えており、憲法の上記大原則に違反しているとされたのです。

この訴訟は民事訴訟(現在当社が行っている「セイロガン糖衣A裁判」はこれに分類されます)でも刑事訴訟でもない行政訴訟で、税務訴訟と同様、専門性が非常に高く、そのため難易度の高い訴訟に分類されます。

また第1審は敗訴しており、第2審でこれを覆すことは一般的に言って難しいといわれています。

にもかかわらず原告側はそれらをものともせず、勝訴判決を得たのです。

原告側の努力、奮闘に敬意を表すると同時に、私も「セイロガン糖衣A」ブランドを守るため、益々「奮戦」しなければ、と思う今日この頃です。

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