社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

クレヨンしんちゃん事件

2012年4月24日

今回は、先日、中国の裁判所で勝訴判決の出た「クレヨンしんちゃん事件」について語っていきたいと思います。

まず事件の概要ですが、原作者の許諾を得て、人気漫画「クレヨンしんちゃん」の著作権、商標権を独占管理してきた日本企業が、無断で「クレヨンしんちゃん」の中国名(蝋筆小新)やデザインを商標登録し、関連グッズを販売してきた中国企業に対し、著作権侵害と商標登録の無効を求め、2004年に提訴したものです。


この訴訟は今回の結論まで長い道のりをたどることになります。まず2004年の8月の仮処分では中国企業の著作権侵害が認められました。しかしながらその後、第1審(上海市第一中級人民法院)、第2審(上海市高級人民法院)では却下処分を受け、日本企業側が敗訴しました。


その後、日本企業側が最高人民法院に再審請求をした結果、2008年11月に「(日本企業側の請求を)受理すべき」との差し戻し判決が下り、その後、上海市第一中級人民法院に事件が差し戻され、2011年9月より審理が再開されました。


そしてようやく2012年3月に中国企業の著作権侵害を認める判決が下されました。


また中国企業が保有していた「クレヨンしんちゃん」に関する登録商標の無効請求についても、日本企業側の主張が認められ、中国企業の商標は無効になっています。


それにしても、2004年から数えて今回の結論が出るまでの8年間、本当に長い裁判闘争だったと思います。


しかも中国は日本と異なり2審制のため、第2審の上海市高級人民法院で敗訴すれば、その判決は一旦確定してしまいます。


にもかかわらず、日本企業側はあきらめずに最高人民法院に再審請求、つまり確定した判決のやり直しを求め、日本企業側の懸命な主張立証活動の結果、事件の差し戻しが認められ、今回の著作権侵害の判決の獲得に至ったのだと思います。


この姿勢は本当に見習うべきであると思いますし、その一方で権利の獲得には多大な努力を要するのだということをこの事件を通じて改めて学ぶことができました。


ちなみに中国企業が保有していた登録商標の無効に関する裁判の判決において、中国の裁判所は「中国企業の抜駆け商標登録は不正利益を獲得するための行為であり、かかる行為が誠実信用の原則に反して(日本企業)の特定権益を侵害した上、中国の商標登録管理の秩序及び公共秩序をも乱し、多大の行政審査資源及び司法資源を浪費し、公共の利益に損失を生じさせた」と認定しており、中国企業側に大変厳しい判断をしています。


この判決内容を見ても中国の知財に関する意識が徐々に変わってきていることを感じます。

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