社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

手段の相当性について

2012年4月 9日

今回は、某市による職員へのアンケート調査問題等を通じて、正当な目的を達成するための手段の相当性(適切妥当性)について、語っていきたいと思います。

前回に引き続き某市の話題ですが、報道によれば、某市が職員に対し政治活動や組合活動に関するアンケートを実施したところ、このアンケートが職員の「思想良心の自由」に反するとして違法性を指摘されたことから、このアンケートを実施した弁護士が、職員組合関係者が見守る中、アンケート結果が書かれた紙やDVDをシュレッダーや金槌により処分したそうです(「思想良心の自由」は日本の最高法規である憲法で保障されている権利です)。


また報道によれば、処分を行った弁護士は、アンケートの設問や市長が業務命令で回答を義務付けた調査手法に問題があったことを認めているようです。


このアンケートの調査目的は、職員による違法ないし不適切な組合活動や政治活動の実態を調査するというものだそうで、それ自体は正当であると思います。


しかしその手段であるアンケートの内容等について、法に触れる可能性があるということで、上記の事態になってしまいました。


このように何かを行う場合、目的は正当でも手段は適切でない(相当でない)ということはよくあることだと思います。


たとえば、私が当社の社員に対しコンプライアンス研修を行うケースを考えた場合、社員のコンプライアンス意識を高め、知識の普及を図るという目的自体は正当でしょう。


しかし、例えば、専門用語を連発し、普段法律に触れていない社員に配慮のない分かりにくい研修を行ったのであれば、全く社員の心には響かず、むしろその研修を受けた社員の時間の無駄になってしまうということもあるかもしれません。


また今当社が提起している民事裁判では、裁判の当事者は訴状や準備書面などの書面を提出しますが、例え相手に明確な非がある場合でも、相手の人格を痛烈に批判する等相手の名誉や信用を傷つける内容を書面に記載したりすれば、仮にその訴訟の目的が正当であっても、それは相手の名誉を毀損(きそん)し、民法で定める不法行為に該当するとして、逆に相手から損害賠償を請求される場合もあります。そしてこれを弁護士が行ったとなれば、弁護士会により懲戒処分がなされるかもしれません。


当然のことですが、目的が正当であれば、何をしても許されるということは絶対ありません。


しかしながら、正当な目的のために、自分の中の正義感や信念に基づいて何かを行おうとする場合、その思いが強いほど、どうしても視野が狭くなってしまい、その手段が適切妥当かまで頭が回らなくなってしまうこともあるかもしれません。


ですが私は、今回の某市における上記の一件を肝に銘じ、自分をコントロールしながら、自分が立てた目的を達成するための手段それ自体、そしてその手段のやり方や進め方が本当に適切妥当なのか、その都度セルフチェックしつつ、業務を進めていきたいと思います。

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