社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

「勝烈庵」と「かつれつ庵」

2012年3月19日

今回は、ある意味面白い(?)理由で表示の類似性を認めた裁判例を紹介します

事件の概要を簡単に説明すると、「勝烈庵」の名でとんかつ料理店を営業していた会社が、「かつれつ庵」の名で同じくとんかつ料理店を営業していた会社に対し、不正競争防止法に基づき、その表示の使用の禁止や損害賠償等を求め、訴訟を提起したものです。


裁判所は結論として、「勝烈庵」の周知性、「勝烈庵」と「かつれつ庵」との類似性を認め、原告の主張を認める判決を下しました。


さて私がこの裁判例で面白いと思ったのは、「勝烈庵」と「かつれつ庵」との類似性を認めるにいたった理由です。


裁判所は、「勝烈庵」と「かつれつ庵」では、前者が「勝烈」という漢字が用いられているのに対し、後者は「かつれつ」というひらがなが用いられている点で異なっているとしながらも、


「勝烈」というのは、カツレツという普通名詞をもとにしながらも、そこに独特の漢字をあてた点に特色が存し、それが「勝烈庵」という営業表示全体の特色となっていることは確かであるけれども、


「勝烈庵」の表示の特色はそれに尽きるものではなく、カツレツという元来日本には存在せず、明治時代以降に西洋から伝来したもので、日本の伝統からすれば新規で、ある程度都会的な印象を与える言葉と、「庵」という日本的かつ古風であり、ひなびた印象を与える言葉とを組み合わせたところに独特の語感、印象を生じさせているものと解することができ、


その意味において、「勝烈庵」と「かつれつ庵」とは、後者が「勝烈」の漢字を用いていなくとも、なお重要な点において共通点を有する類似の営業表示と言うことができる、と判断しました。


私が面白いと感じたのは、上記の下線部分で、「カツレツ」を「日本の伝統からすれば新規で、ある程度都会的な印象を与える言葉」と評価し、また「庵」を「日本的かつ古風」であり、「ひなびた印象を与える言葉」と評価したことです。


「カツレツ」が「ある程度都会的な印象を与える言葉」かどうか、「庵」が「日本的かつ古風」で「ひなびた印象を与える言葉」かどうか、この点は人により評価が分かれるところだと思います。


にもかかわらず、裁判所は自身の価値判断を押し出して原告の主張を認める判決を下しました。


多くの裁判例の中でもここまで価値判断を全面に出して判決した例は珍しいと思います。


皆さんは今回の裁判所の判断、どう思われましたか。

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