社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

不正競争防止法で保護される「営業」とは

2012年3月12日

今回は、不正競争防止法で保護される「営業」について判断した裁判例を紹介したいと思います。

前回のブログで、医薬品のカプセル等の「色彩構成」は、不正競争防止法に定める「商品等表示」つまり「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は『営業』を表示するもの」に該当するのかどうかについてお話しました。

ではこの『営業』とはどのようなことを指すのでしょうか。


普通に考えれば、「営利を目的とする事業」を意味すると考えるところでしょう。


しかしながら、この『営業』の意味について争われた裁判がありました。


この事件は、ある有名な拳法の研究普及等を目的とした社団法人が、その有名な拳法名の使用中止を被告に求めたものです。


被告としては、原告の社団法人は営利を目的とする団体ではないから、原告の事業は不正競争防止法に定める「営業」には該当しないと争いました。


これに対して裁判所は、原告の事業も『営業』にあたると判断しました。


裁判所は、『営業』の意味について、単に営利を目的とする業務だけでなく、広く経済上収支の予算を立て経済秩序の一環として行われている事業(商工業、農林水産業、病院、学校その他の社会福祉、文化活動上の事業)を含むとしました。


その理由ですが、上に記載の非営利事業といえども、その存立が事業上の円滑な収入収益にかかっている点では営利事業と共通の側面があり、経済上収支の予算を立て経済秩序の一環として行われている以上、これらの事業も含めなければ、不正競争防止法の目的である「取引経済秩序の公正維持」(簡単に言い換えれば、事業者間における公正なルールの下での競争の確保、といったところです)を十分果たしえないからというものです。


その上で、原告社団法人の事業(拳法の普及事業)も上に記載した事業にあたり、『営業』に該当するとしました。


本来的な日本語の意味からすれば、相当かけ離れた解釈だと思いますが、不正競争防止法の趣旨や目的からすれば、妥当な判断であると思います。


私が司法試験の勉強をしていたとき、指導してくださった先生から「法律は趣旨から考えよ」と指導されたものですが、今回紹介した裁判例はまさにこの考え方を適用して判断されたものです。


今回の例のようにその言葉の本来の意味だけでなく、その法律全体の趣旨等を考えて、その言葉を解釈していかなければいけないというところが、法律の難しさであり、また「楽しさ」であると思います(「楽しい」と感じるのは私のような法律家だけかもしれませんが)。

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