社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

商標としての正露丸の歴史(その3)

2012年2月21日

今回は、「正露丸」という商標を「普通名称でない」と判断した東京地方裁判所昭和40年10月5日の判決を紹介します。

この事件は、当社が、昭和36年に、「正露丸」を使用した業者(東京に本拠のある会社)に対し、商標法に基づきその使用禁止等を東京地方裁判所に求めたものです。

これに対し、東京地方裁判所は当社の主張を認め、相手方の業者に使用禁止を命じ、この判決は1審で確定しました。

この判決で東京地方裁判所が当社の主張を認めた理由は、多々ありますが、ポイントとなるのは以下のとおりです。

当社が、クレオソートを主剤とする胃腸用丸薬につき、「正露丸」という名称を使用して製造販売を行い、全国の都道府県にその代理店をおき、昭和29年以降、年間約2000万円の宣伝広告費を投じて「正露丸」の宣伝広告をした結果、同胃腸用丸薬の需要の約90%を占めるにいたったこと、

商標の管理面においても、「軍歌正露」「ゼンコクセイロ」等の各登録商標の無効審判を請求したほか、他の業者が出願した「せいろ」等に対する異議申し立てをする等して類似商標の出現を防ぐ一方、

「正露丸」を使用している業者の大部分に対してその使用禁止の警告を発してその一部の使用を禁止させ、あるいは訴訟によりその差止を請求しつつ、

同業者が通常読むことある業務公報に『「正露」は原告の商標である』旨の厚生省(現厚生労働省)発の通達の記載を得る等、意をそそいでいる等の事実を認定し、

「正露丸」は当社以外にも使用する者が多少存在することを認めつつも、当社商品の標章として、その識別力があることを認め、そうである以上、「正露丸」は誰でも自由に使用できる商標ではなく、普通名称とはいえないと判断しました。

しかしながら、この判断は、別の事件で覆され、「正露丸」は普通名称であるとの判断が最高裁で確定してしまいました。

ただ、この判決から、「商標管理の徹底」がこの事件の勝訴に結びついたことはしっかり学んでいきたいと思います。

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