社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ

このブログでは、大幸薬品の社内弁護士である森田が、「セイロガン糖衣A」ブランドを守るために行っている活動やブランドへの「思い」をお届けします。

会社の代表者

2012年1月30日

今回は、ある会社の訴訟提起の例を通じて「会社を代表する者は誰か」という点を中心に述べていきたいと思います。 

会社の代表者といえば、代表取締役である「社長」です(「代表取締役会長」を置いている会社もありますが、この場合、「会長」も代表者です)。

ですから会社の重要な契約書は「社長」名で押印しますし、訴訟の場合も通常は代表取締役である「社長」名で提起します(この場合、代表取締役会長を置いている会社でも「会長」ではなく、「社長」名で契約書の押印や訴訟提起を行う場合が多いと思います。当社もそうです)。

ところで、昨年から一連の不祥事が取り沙汰されたO社は、1月8日、現職の代表取締役社長を含む現旧取締役に対し、会社法の規定に基づき損害賠償請求訴訟を提起することを発表しました。

つまり会社が現職の社長(会社のトップ)を訴えたわけですが、この場合、誰が会社を代表するのでしょうか。

この点は法律も想定していたようで、会社法という法律に「監査役」が会社を代表すると規定されています。

今回のO社のケースでも、O社が独自に設けた取締役責任調査委員会の報告に基づき、同社の「監査役会」にて訴訟提起を決定し、「監査役」が会社を代表して訴訟提起を行ったそうです。

とはいえ、訴えられた被告が社内にいて、社長として経営を行っているなかで、どうやって会社として訴訟対応を行っていくのか気になるところです。

この点はO社も考えていて、O社の報道資料によると、主に以下の点を実行するようです。

①     訴訟の管理は、社長以下の執行部から完全に独立した監査役室で行うこと

②     被告となった取締役に対し、訴訟に関する一切の記録のアクセスを禁止すること

③     被告となった取締役は、訴訟遂行の方針や和解の協議等訴訟に関する意思決定に関わらないこと

つまりは、社長等から独立した「監査役室」で主に訴訟対応を行い、社長以下被告となった取締役は訴訟対応に一切関与しないということです。

しかしながら、社長以下の取締役は、同じ建物にいて、また会社のイントラネット等を利用できる立場にあると思われます(当然、訴訟資料のアクセス制限を施すとは思いますが)。

また訴訟管理は「監査役室」が行うといっても、どの程度独立性が確保されているのでしょうか。仮に監査役室のスタッフがもともと監査役室以外の別の部署(たとえば法務部や経理部等)に所属していたような場合、取締役からの命令を拒否しにくいのではないかと思います。

そういう意味で、O社が発表した上記①から③を厳格に遵守し、かつ双方馴れ合いにならないようにすることは相当困難であると思われます。

今後も、この訴訟がどのように進んでいくのか、どのように決着していくのか、注視していきたいと思います。

[カテゴリー:]

< 商標の「使用」 記事一覧 商標としての「正露丸」の歴史(その1) >

y[Wgbv